多くの方がものづくり補助金は採択されたら終わりと安心してしまうと思います。
しかし、特定の条件の場合補助金を返還する可能性もあるため注意が必要です。
資金調達のための融資や補助事業を実施するための準備がすべて無駄になってしまうことは避けたいですよね。
そこで今回はものづくり補助金で補助金返還の義務が発生する条件やその際の注意点について解説したいと思います。
目次
①返還義務について
①収益納付
②賃上げ要件
④まとめ
ものづくり補助金は原則返還不要です。
しかし、特定の条件によって返還義務が発生します。
おおよそ、予定よりも補助事業での収入が多かった場合と賃金の引上げを行わなかった場合の2つです。
以下で詳細を説明いたします。
予定よりも補助事業での収入が多かった場合は収益納付にあたります。
具体的には補助事業によって自己負担額を超える利益が生じた場合、一部返納することになります。
例えば、5年間の補助事業計画で2,000万円の設備を購入し、1,000万円を自己負担、1,000万円を補助金交付額だとします。
補助事業を行うことで得られた利益が5年間で累計1,000万円を超えなければ収益納付の対象外となります。
しかし、5年間で累計1,000万円を超えれば対象となります。
計算方法は、超えた金額×採択補助率=返還額になります。
例えば、500万円超えた場合は上記の例を参考にすると500万×1/2=250万円が収益納付額になります。
一方で、超えた場合でも収益納付が免除になるケースがあります。
(1)決算で赤字となっている
(2)給与支給総額を年率平均3%以上増加させた場合
(3)最低賃金を地域別最低賃金+90円以上の水準とした場合
上記3つのどれかに該当する場合は免除になるので、超えたからといって焦らず事務局にも確認しましょう。
賃上げ要件については2つのケースがあります。
事業計画の最終年度で給与支給総額が年率平均1.5%未満の場合は返還義務が発生します。
従業員を一人雇うなどすると給与支給総額の要件はクリアしやすいですが、
従業員が一人退職した場合は難易度が高くなるので注意が必要です。
未達の場合の計算方法は導入設備の時価又は残存簿価×補助金額/実際の購入金額で算定した金額=返還額になります。
例えば、2,000万円の機械を1,000万円の補助金額で購入し残存価格が300万円だとします。
この場合、300万円×1,000万円/2,000万円=150万円が返還額になる計算です。
事業実施場所の事業場内最低賃金の従業員時給が地域別最低賃金+30円以上を満たしていない場合は返還義務が発生します。
補助事業終了後、計画期間内に毎年3月に賃金の報告が必要となるので賃上げのタイミングには気を付けましょう。
また、賞与はこの時間給の計算に含めることは認められていないので注意が必要です。
未達の場合の計算方法は補助金額/事業計画年数=返還額になります。
例えば、5年の事業計画の補助事業で1,000万円の補助金額で3年目の賃上げができなかったとします。
この場合、1,000万円/5=200万円が返還額になる計算です。
いかがでしたでしょうか。
補助金の返還要件は一見計算方法が複雑だと思われがちですが、
具体的な事例に落とし込んでみると簡単に計算できたりします。
また、受け取れたからと言ってゴールではなく、そのあとの補助事業もルールを守り適切に取り組むことが重要となります。
今回の記事は以上となります。
「具体的な計算方法についてまだ不安」
「自社の場合の補助金返還について確認してほしい」
そんなときは、補助金や助成金などの申請支援を行っている専門家に相談する方法があります。
各種制度の申請で承認を受けるには、ポイントを押さえて書類を作成しなければなりません。
まずは申請の要件を満たしているかというところからの相談も可能です。制度の活用を考えているのなら、ぜひ専門家によるサポートを検討してみてはいかがでしょうか。
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