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製造業の事業承継の現状と課題、活用できる補助金を解説

高齢化にともない、後継者問題を抱えている会社が増えてきています。

もちろん、製造業も同様の問題に直面していて、事業承継を検討しているところも多いのではないでしょうか。

そこで今回は、製造業の事業承継の現状と課題について、そして事業承継の際に活用できる補助金について解説していきます。

日本の中小企業の現状

まずは製造業を含めた、日本の中小企業の現状をみていきましょう。

引用:2020年版 中小企業白書より

このように、企業数は年々減少している状態です。なぜ減少しているのかというと、さまざまな要因が考えられますが、今回は経営者の高齢化について紹介します。

引用:2020年版 中小企業白書より

このように、70代以上の経営者の割合は年々増加しているのがわかります。

経営者の高齢化により、事業承継という選択をするという企業が増えてきています。中には、利益が出ているにもかかわらず、承継する人が見つからなかったために「黒字経営でも廃業を選択しなくてはならない」という企業も存在します。

さらに製造業を廃業する場合、さまざまな法的書類の提出や、設備の処分や工場の売却などを行う必要があります。そのため、工場の売却にはかなりの時間と費用がかかるため、できれば事業承継が望ましいです。

製造業における事業承継の選択肢

それでは製造業において、事業承継をするとしたらどのような選択肢があるのか。代表的なものをお伝えします。

親族内事業承継

親族内承継とは、自分の子どもや孫、甥や姪といった親族に会社を承継する手法です。

日本ではこの親族内事業承継が一般的です。後継者候補として、会社の従業員もしくは取締役として勤務を行い、会社の業務や内情をしっかりと理解したうえで事業承継を行うというかたちです。

ただし、最近ではこの親族内事業承継がうまくいかないケースが増えています。親族だけど会社を承継する意識がないという場合や、少子高齢化でそもそも親族がいないという場合もあるためです。

親族外事業承継

親族外事業承継とは、親族ではなく、社内の従業員や外部の人材に事業を承継する手法です。

メリットは何といっても、候補者の選択肢が広がることです。役員や従業員、社外の人が対象となるため、幅広い人材の中から後継者を選定することが可能となります。

ただし、親族外事業承継を行う場合は、現在の経営者の親族との問題や、経営者が抱えている個人保証の引き継ぎなどがあるので注意が必要です。

M&Aによる事業承継

M&Aによる事業承継は、第三者に事業を売却・譲渡するという手法です。

親族もしくは社内の従業員や外部の人材で承継できる人が見つからないという場合はM&Aを行うと、自社を評価してくれる企業を幅広く見つけられるようになり、売却・譲渡によって経営者自身に利益をもたらすことが可能です。

ただし、M&Aを行う場合は、自社の事業や経営状況をしっかりとチェックされること、またM&Aは専門業者を通じて行うため、仲介手数料や成約料金などがかかる点は注意が必要です。

製造業における事業承継の課題

製造業で事業承継を行う場合は、抱えている課題にある程度目処をつける必要があります。引き継ぐことになった経営者に課題をそのまま押し付けるのではなく、課題達成に向けた取り組みも、今から進めていくことをおすすめします。

人材の確保

製造業の場合は、とにかく人材の確保が最優先です。機械を動かすのも、検査をするのもすべて人材が行う必要があるからです。

そのために行うのが、人材採用と人材定着の取り組みです。

経営者と同じく、従業員の高齢化も進んでいます。高齢化による引退で従業員は足りなくなるため、その従業員の後を引き継ぐ人材を採用する必要があります。

ただし、現在の日本は働き手不足の状態です。求人を出してもなかなか人が集まりにくい状況にあります。さらに製造業は、3Kという負のイメージがあるからこそ、とくに厳しい状況にあります。

また、新たな人材を採用するだけではなく、今いる従業員にも長く働いてもらう必要があります。その従業員に長く働きたいと思えるような雇用条件や職場の環境整備が求められます。

このように、働き手が少ない中、どうやって必要な人材を確保するのか。そして人材に長く働いてもらうための企業づくりを考える必要があります。最悪の場合は「人がいなくても稼働する」体制を構築することを考えていきましょう。

技術継承

日本の技術力は、世界的にも非常に高いものだとされてきました。

しかし、その技術力のほとんどが個人に依存したものです。いわゆる職人の技術となっていて、その技術の教え方や伝え方がうまくいかないことや、育成までに時間がどうしてもかかること、そもそも引き継ぐ人がいないという問題が起こっています。

そのためにも、AIやIoTなどを導入し、技術やノウハウを共有する仕組みづくりを検討する必要があります。

設備のリプレイス

現在業務で行なっている設備は、かなり老朽化が進んでいる状態かと思います。

また、メーカーによるサポートが終了した設備などもあるため、もし設備に故障や不具合があった時は復旧することができず、最悪は生産ラインが止まってしまうという可能性があります。

そのためにも、今から設備を新たに導入したり、入れ替えたりして、設備トラブルによるリスクを最小限におさえる取り組みが必要となります。

事業承継で活用できる補助金

このように、事業承継の際は色々と費用がかかるケースがほとんどです。その際の費用負担を抑えるための方法として、補助金制度を活用してみてはいかがでしょうか。

事業承継の際に活用できる補助金についてお伝えします。

事業承継・引継ぎ補助金

事業承継・引継ぎ補助金は、事業承継を行う中小企業を支援するための補助金です。

後継者が新たに別の法人を立ち上げて、既存会社から事業を引き継ぐ場合は「創業支援型(I型)」

今の会社のままで新たに経営者に就任した場合は「経営者交代型(Ⅱ型)」

M&Aで事業を売却・譲渡する場合は「M&A型(Ⅱ型)」

こちらが対象となります。

人件費、設備費、旅費、広報費、材料費などの経費が補助の対象となり、補助率は2/3、補助上限額は600万円(賃上げを表明すると800万円)となります。

ものづくり補助金

ものづくり補助金とは、生産性向上や業務効率化を目的に、新たに機械装置の購入やシステム構築の際にかかる費用を支援するための補助金です。

ものづくり補助金には、審査の際に有利に働く加点制度があり、その中の一つに「創業・第二創業まもない事業者(5年以内)」があります。

新たに法人を立ち上げて、既存会社から事業を引き継ぐ企業はもちろんのこと、今の会社で新たに経営者が就任して、既存事業とは別の事業を始める場合(第二創業)も、加点の対象となります。加点がつけば、通常の申請よりも採用の可能性が高まるため、ものづくり補助金を検討するという方法もあります。

補助上限額750万円~5,000万円、補助率1/2もしくは2/3です。

まとめ

今回は、製造業の事業承継の現状と課題について、そして事業承継の際に活用できる補助金について解説しました。

経営者の高齢化はまだまだ進むため、事業承継を考える企業はさらに増えていくことが予想されます。もし、事業承継を視野に入れている、予定している人は誰に事業承継するのか、そして事業承継までに取り組む課題は何かをきちんと検討していきましょう。

また、事業承継に向けた取り組みを行う場合は、いろいろと費用が発生することになります。少しでもその費用を軽減するために補助金という選択肢も視野にいれておくことをおすすめします。


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