ものづくり製造業のための
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製造業のDX化で得られるメリットとDX推進支援事業の紹介

DXをご存じでしょうか。

現在、国や都道府県において、企業のDX化を推進する動きが高まっています。

とくに製造業においては、製造業特有の問題を抱えていることもあり、特にDX化の必要性が高まっている業界です。

国や都道府県では、企業のDX化に向けたさまざまな支援事業が用意されています。この機会にぜひ、DX化を検討してみてはいかがでしょうか。

今回は、これからDX化を検討される製造業の方に向けて、DXについて、そして製造業でDXが求められる背景やメリット、そしてどのようなDX推進支援事業があるのかをお伝えします。

DXとは?

DXとは、“デジタルトランスフォーメーション”の略です。

ビッグデータと、AIやIoTを始めとするデジタル技術を活用して、業務プロセスの改善はもちろんのこと、ビジネスモデルや組織の変革まで行う取り組みのことをいいます。

DX化にあたっては、3段階のフェーズの順に行います。
※ただし、必ずこの順序で実行しないといけないわけではありません。

STEP1. デジタイゼーション

アナログ・物理データのデジタルデータ化

STEP2. デジタライゼーション

個別の業務・製造プロセスのデジタル化

STEP3. デジタルトランスフォーメーション

組織横断/全体の業務・製造プロセスのデジタル化
顧客起点の価値創出のための事業やビジネスモデルの変革

なお、デジタル化というと、DXと混同されることが多いのが「IT化」です。

いずれもデジタル化という意味で使用されますが、最終的な目的で大きな違いがあります。

それぞれの立ち位置はこちらです。

DX=組織やビジネスの仕組みそのものを変革し、新たな企業の確立を目指す取り組みのこと

IT化=既存の業務の効率化や生産性向上、コスト削減のためにデジタル技術を導入すること

IT化は、DX推進に向けた手段のひとつで、DXの中にIT化が包含されるものになります。

なので、DXを推進する際に、手段の一つとしてIT化を実現するというかたちです。

製造業におけるDX化の必要性

製造業は、日本のGDPの約20%を占めるなど、国を支える主要産業です。

しかし、2020年に発生した新型コロナウイルス感染症の影響により、日本の製造業の多くは、海外拠点の停止や原材料の入手が困難になるなど、大打撃を受けました。

こうした、社会や業界などの外的要因への対応に遅れをとっているのが、製造業です。

外的要因への対応が遅れた背景としては、日本の製造業が長年抱える、以下の2つの問題があるためです。

1つ目は、業務の属人化です。

製造業における業務は、特定の作業者が行うため、スキルや経験が属人化しているのが現状です。

さらに作業者の高齢化や退職にともない、属人化しているスキルや経験の継承や後継者育成が大きな問題となっています。

2つ目は、IT化の遅れです。

製造業はアナログ作業が多く、IT化に遅れ気味の業界といえます。

社内にITに詳しい人材が少なく、IT化の導入に二の足を踏むところが多いようです。

今後、日本の製造業がグローバル社会で生き残っていくためには、製造業が抱える問題を解決し、変革していく必要があります。

そのため、製造業のDX化は避けて通ることができず、必要性が高まっている状態にあります。

製造業のDX化で得られる5つのメリット

製造業のDX化が実現できると、以下のようなメリットが期待できます。

①自動化・効率化が行えるので生産性が向上する

AIやIoTなどのデジタル技術を導入することで、原料や在庫の管理、受注や出荷記録といった管理業務を自動化・効率化ができるようになります。また、人によるヒューマンエラーも少なくなるので、生産性の向上へとつながるようになります。

②スキルや経験を社内全体で共有できる

デジタル技術を導入することで、属人化されていたスキルや経験を平準化し、データとして全体共有することが可能となります。その結果、一部の職員に頼らなくてもスキルや経験を伝えることができるようになり、人材不足や後継者育成の問題から解消されるようになります。

③コストを削減できる

機械を導入したり、管理業務を自動化・効率化ができるようになると、担当人数の削減や業務時間の短縮へとつながります。また、今まで紙で管理していたものをデータで管理することでペーパーレス化を実現するため、人件費などのコスト削減が可能となります。

④従業員の労働負荷が軽減される

今までは人が担当していた業務を、機械やデジタル技術に代用することで、従業員の労働負担は大幅に軽減されます。その結果、休日出勤や残業といった長時間労働の解消にもつながります。

⑤新しい価値を創出できる

機械やデジタル技術で製造現場の最適化をした後は、空いた人やリソースを活用して、新たな製品開発や品質向上に時間をかけることが可能となります。その結果、新しい価値を生み出すことができて、結果として顧客満足度のアップが期待できるようになります。

DX推進支援事業のご紹介

国や都道府県で、さまざまなDX推進支援事業がありますが、今回は東京都が募集している事業を紹介します。

企業変革に向けたDX推進助成金
https://iot-robot.jp/business/dx01/
https://iot-robot.jp/business/dx02/

東京都内に本店や支店のある中小企業および、個人事業主が対象で、1年以上の事業実績のある方が対象となる施策となります。

まずはDX推進アドバイザーが最大2回、職場に訪問してヒアリングを実施。その結果をふまえて、DX推進支援事業の対象とするかどうかを審査します。

審査で無事にDX推進支援事業の採択企業に選ばれたら、DX推進の支援が始まります。

具体的には以下の支援を受けることができます。

どのような支援かというと、DX推進アドバイザーが無料で最大2年間、以下の支援を行い、DX化に向けた取り組みを行います。

①DX推進アドバイザーによる無料支援

 - DX戦略策定支援(1年目のみ最大10回)
 - デジタル技術導入・活用支援(1年目は最大6回、2年目は最大で8回)
 ※業務代行や“DX戦略書”の作成は行いません

②DX推進にむけた機器・システム等の導入・活用に必要な費用を助成(最大1000万円)

募集期間は5月23日(火)までのため、今回は時期的に難しいかもしれません。しかし、製造業のDX化は必要性が高まっているため、同様のDX推進支援事業は再開される可能性は十分ありそうです。

今回は東京都の募集案内を紹介しましたが、国や他の都道府県が独自に行っているケースもあります。ぜひチェックしてみてください。

まとめ

今回は製造業におけるDX化のメリットについてお伝えしました。

製造業でDX化することは、製造業が長年抱えている後継者問題などを解決し、生産性向上や新たな価値の提供を実現することが可能となります。

DX化は、会社の変革を実現するための大がかりなプロジェクトになりますが、それ以上に得られるメリットも大きく、将来のことを考えると、DX化は避けて通ることはできないでしょう。

もし、国や都道府県で、DX推進支援事業があれば、積極的に活用することをおすすめします。

その際はぜひ、支援事業の採択に向けて、専門家にご相談ください。


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