2023年6月23日から、「事業承継・引継ぎ補助金」の6次交付申請の受付が開始されました。
事業承継やM&Aに取り組む中小企業を支援するために設けられているのが、事業承継・引継ぎ補助金です。
本記事では「事業承継・引継ぎ補助金」の概要や、2023年度からの変更点などを紹介します。また申請にあたって採択率を高める方法も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
中小企業や小規模事業者を対象としているのが「事業承継・引継ぎ補助金」です。
事業承継、事業再編・事業統合を促進して、経済の活性化を図ることを目的としています。補助金の対象となっているのは、以下に該当する中小企業・小規模事業者です。
上記に該当する場合は補助金を活用できる可能性がありますので、ぜひ検討してみましょう。
支援の対象により、事業承継・引継ぎ補助金は3つの事業にわけられます。申請にあたっては、適切な事業を選択しましょう。
3つの事業の概要と、補助率と補助上限を紹介します。
経営革新事業は、承継後の取り組みに対する費用が支援の対象です。店舗等借入費・設備費・謝金・外注費・マーケティング調査費など、さまざまな経費が対象となります。
条件 | 補助上限額 | 補助額 |
①⼩規模企業者 ②営業利益率低下 ③⾚字 ④再⽣事業者等 上記のいずれかに該当 | 賃上げ実施あり……800万円 賃上げ実施なし……600万円 | 600万円超〜 800万円相当部分……1/2以内 〜600万円相当部分……2/3以内 |
上記該当なし | 賃上げ実施あり……800万円 賃上げ実施なし……600万円 | 1/2以内 |
経営革新事業には次の3つのタイプがあります。
令和4年度第2次補正予算からは、一定の賃上げを実施する場合には、優遇措置が設けられています。
賃上げの予定があるのなら、補助金上限引き上げに活用できないかも検討してみましょう。
M&Aにかかる費用などを対象としているのが専門家活用事業です。経営革新事業とは違って、承継前の引継ぎにかかる費用についての支援が受けられます。
後継者が不在で、M&Aによる事業承継を検討している中小企業も多いでしょう。M&Aも便利な方法ではありますが、次のような費用がかかります。
その費用を委託費として支援するのが、専門家活用事業です。謝金・旅費・外注費・システム利用料・保険料・廃業費も補助対象経費になります。
専門家活用事業の種類は、売り手支援型・買い手支援型の2つです。それぞれの補助率や補助下限額などは、次のようになっています。
類型 | 補助率 | 補助下限額 | 補助上限額 | 上乗せ額(廃業費) |
買い⼿⽀援型 | 2/3以内 | 50万円 | 600万円以内 | +150万円以内 |
売り手⽀援型 | 1/2または2/3以内 | 50万円 | 600万円以内 | +150万円以内 |
M&Aで費用負担が厳しいのなら、専門家活用事業を活用するのがよいでしょう。
事業承継に伴う廃業費用を補助しているのが、廃業・再チャレンジ事業です。補助対象経費には、廃業支援費・在庫廃棄費・解体費・原状回復費・リース解約費などがあります。
廃業・再チャレンジ事業は、単独申請と併用申請の2種類です。
対象経費 | 補助率 | 補助下限額 | 補助上限額 |
廃業⽀援費等 | 2/3以内 | 50万円 | 150万円以内 |
会社自体の廃業だけでなく、事業の一部の廃業も対象です。なお再チャレンジ申請にあたっては、補助事業期間内の廃業完了が必須要件となります。
事業承継・引継ぎ補助金の令和4年度第2次補正予算での変更点も紹介します。大きな変更点として挙げられるのは次の3つです。
どのような変更が行われたのか、内容をチェックしてみましょう。
6次からは、経営⾰新事業での補助上限額が引き上げになっています。補助上限額引き上げの条件となっているのが、一定の賃上げです。次の2つが補助上限額の変更に関する賃上げ要件となります。
【補助上限額の変更に関する賃上げ要件】
以下①②のいずれかを達成すること。
① 補助事業期間終了時に、事業場内最低賃金が地域別最低賃金+30円以上の賃上げ
② ①を既に達成している事業者は、補助事業期間終了時に、事業場内最低賃金+30円以上の賃上げ
引用:中小企業生産性革命推進事業 事業承継・引継ぎ補助金 経営革新事業【公 募 要 領】 6 次 公 募
賃上げにより、補助上限が600万円から800万円に引き上げられます。また従来まで、補助上限額は補助金400万円までが2/3、400万円超が1/2でした。しかし2023年以降は、対象経費900万円までの部分が2/3、900万円超の部分が1/2です。そのため変更によって、支援が手厚くなっているといえます。
経営革新事業の「経営者交代型」の対象にも変更点があります。これまで経営者交代型の対象となるのは、経営資源を引継いだ場合のみが対象でした。
しかし令和4年度第2次補正予算からは「引継ぎ予定」の場合も対象になります。
そこで補助金の対象となる企業は多くなるでしょう。
専⾨家活⽤事業では、令和4年度第2次補正予算から補助下限額が引き下げになっています。
前回の公募では、専門家活用事業の補助下限額は100万円に設定されていました。しかし6次では、補助下限額が50万円へと引き下げられています。
「活用したいが補助下限額に満たなくて使えない」と考えていた人も多いでしょう。下限額の引き下げにより、補助金を活用できる事業が多くなると予測されます。
事業承継・引継ぎ補助金は、補助金申請の支援を行っている専門家に相談するのがおすすめの方法です。
補助金の概要については、3種類共通のわかりやすいパンフレットが用意されています。(参考)令和4年度 補正予算 事業承継・引継ぎ補助⾦
ただし申請要件を始めとした詳細を知るには、事業ごとの公募要領を読み込みが必要不可欠です。公募要領は、経営革新・専門家活用・廃業・再チャレンジの3つにわかれています。業務の傍ら、公募要領を詳細まで確認して準備を進めていくのは、けっして簡単ではありません。
事業承継の予定があって忙しい時期に、補助金の申請まで行うのは大変でしょう。しかし専門家のサポートがあれば、補助金申請を効率よく準備できるうえに、採択率を高められます。「自社に合っている補助金なのか」がわからないときの相談も可能です。
専門家への相談のうえで、事業承継・引継ぎ補助金を活用して、事業承継を進めていきましょう。
また、貴社が補助金を活用できるかどうか不安な場合は、以下のページから診断できます。
最短15分で診断結果レポートを提供いたしますので、ぜひご活用ください。
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