「生産性革命推進事業に係る補助金」とは賃上げ、インボイス導入、働き方改革や被用者保険の適用拡大といった制度変更に対応しつつ、事業継続とその後の成長につなげる方法を探している中小企業等が使える補助金です。
ものづくり補助金、小規模事業者持続化補助金、IT導入補助金、事業承継・引継ぎ補助金の4つの補助金を指します。
今回はその中から、「ものづくり補助金」にフォーカスします。さらに3つの新設枠について解説していきたいと思います。
1.補助上限額が従業員規模に応じて設定
補助上限額は、9次締切まで一律1,000万円(通常枠)でしたが、10次締切以降は、従業員規模に応じて上限額が設定されました。
●従業員数5人以下:750万円
●6~20人:1,000万円
●21人以上:1,250万円
2.補助対象事業者の見直し・拡充
(1)補助対象事業者に、資本金10億円未満の「特定事業者」が追加され、これにより中小企業から中堅企業への成長途上にある企業群も支援対象になりました。
(2)再生計画等を策定している者など「再生事業者」を対象に、補助率が2/3に引き上げられました。
(1)業況が厳しいながらも賃上げ・雇用拡大に取り組む事業者を対象とした「回復型賃上げ・雇用拡大枠」の創設。
(2)DX等に取り組む事業者を対象とした「デジタル枠」の創設。
(3)温室効果ガスの排出削減等に取り組む事業者を対象とした「グリーン枠」の創設。
賃上げとデジタル枠は、通常枠の補助率1/2 (原則)と比べて、2/3と優遇されています。グリーン枠は補助率が2/3であることに加えて、補助上限金額が2,000万円と優遇されています。
ものづくり補助金の一般型は、4つの枠に分かれています。
補助金を受け取るために以下の「基本要件」と「各枠独自の要件」を満たす必要があるため、それぞれご紹介します。
【基本要件(すべての型・枠で必ず満たすべき要件)】
50万円以上(税抜き)の設備投資のほか、以下の要件すべてを満たす3〜5年の事業計画を策定し、実行する必要があります。
●付加価値額※を+3%以上/年にする ●給与支給額を+1.5%以上/年にする ●事業場内最低賃金≧地域別最低賃金+30円
一般型の「回復型賃上げ・雇用拡大枠」は、経営状況が厳しい中であっても賃上げや雇用拡大を実施しながら、通常枠と同様に設備投資等に取り組む事業者向けの申請枠となります。
基本要件の他に、以下3つの独自要件も満たす必要があります。
●前事業年度の課税所得がゼロ
●常時使用する使用人がいる(1人で経営している法人、個人事業はNG)
●補助事業年度の翌年度3月時点で給与支払総額と事業場内最低賃金の増加目標達成
一般型の「デジタル枠」は、DX(デジタルトランスフォーメーション)※のために設備投資を行う事業者向けの申請枠です。 ※DXとは、デジタル技術を使って世の中に変革を起こすような事業のこと。
基本要件の他に、以下3つの独自要件も満たす必要があります。
●「DXのための革新的な製品やサービスの開発」or「デジタル技術を使った生産プロセスやサービス提供方法の改善」どちらかの事業 ●指定された指標をもとにDXに取り組む上での課題等を自己診断し、結果をIPA(独立行政法人情報処理機構)に提出
●IPAが実施している「SECURITY ACTION」に取り組んでいることを宣言
一般型の「グリーン枠」は、温室効果ガス排出削減に役立つ事業のために設備投資を行う事業者向けの申請枠です。
基本要件の他に、以下3つの独自要件も満たす必要があります。
●「温室効果ガス排出削減ための革新的な製品やサービスの開発」or「炭素生産性が向上※1するような生産プロセスやサービス提供方法の改善」どちらかの事業※2 ●事業計画期間内(3〜5年)以内に、事業場単位or会社全体の炭素生産性が+1%以上/年となる事業 ●過去に温室効果ガス排出削減の取り組みをしたことが有るor無いを示す ※1「炭素生産性の向上」を大まかにいうと、「やむをえず二酸化炭素(温室効果ガスの中で一番排出量が多い物質)を排出して製造する製品から生み出す価値(GDP等)を向上させること」です。 ※2例えば「高い省エネ性能を搭載した製品の開発」等です。
グリーン枠の事業では多額の資金が必要となるのが一般的なので、通常枠等と比べて高い補助金額が設定されています。
いかがだったでしょうか。 ものづくり補助金は、経営革新への投資を支援する補助金です。 これからどのようにして事業を継続し、自社の競争力を強化していくかを考えた時に「新商品開発」や「新たな生産ラインの導入」、「新サービスの開発」や「新たな提供方式の導入」のための設備投資を計画しているなら、ぜひものづくり補助金の活用をご検討ください。
また自社に合った申請枠や要件の確認も大事です。不明な点がございましたら、当社へご相談ください。
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