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経営力向上計画の対象となる取り組みをQ&A形式で解説します!

経営力向上計画をご存じでしょうか?
経営力向上計画の認定を受けることで、税制優遇、金融支援、法的支援などの恩恵が受けられます。

今回は、経営力向上計画とはどのような制度なのか、どのような取り組みが対象となるのかを徹底解説していきます。



1 経営力向上計画とは

2 経営力向上計画の詳細

 2-1 経営力向上計画の申請者要件

 2-2 経営力向上計画のメリット

 2-3 経営力向上計画のA類型とB類型

3 経営力向上計画のQ&A

 3-1 最近導入した設備も対象になりますか?

 3-2 本社のリニューアル(修繕)等は対象になりますか

 3-3 エアコンの設置・工事は対象になりますか?

 3-4 店舗の新規出店等は対象になりますか?

まとめ


1 経営力向上計画とは

引用:チラシ

経営力向上計画は「中小企業等経営強化法」に基づいて策定された制度です。

各事業分野別に定められた基準を満たした計画を提出し、国からの認定を受けることで、税制優遇や低利融資などの支援が受けられます。

この制度の目的は、企業の生産性向上や人手不足解消を通して、経営基盤の強化や競争力の強化を図ることにあります。



2 経営力向上計画の詳細

2-1 経営力向上計画の申請者要件

経営力向上計画の申請ができるのは、中小企業等経営強化法に定められた中小企業者等で、個人事業主や一般社団法人、中小企業等協同組合も含みます。


2-2 経営力向上計画のメリット

経営力向上計画の最大のメリットは、設備投資の際の税制優遇にあります。

設備投資を行い、この経営力向上計画の認定を受けていると、決算の際に、法人税の負担を軽減できる「即時償却」または「税額控除」のいずれかを選ぶことが可能です(両方の選択は不可)。


即時償却
通常、設備投資にかかる費用は、設備の耐用年数に応じて分割して経費に計上しますが、即時償却を選ぶと、初年度に一括で経費計上できます。

たとえば、1000万円の設備を購入した場合、通常は数年間にわたって少しずつ経費化しますが、即時償却を利用すればその年に一気に1000万円を経費として計上でき、結果として利益が減少するため、利益が出ている場合は法人税が30%の場合では300万円ほど納税額が下がります。

これにより、手元のキャッシュを残しつつ、法人税の負担を軽減できるようになります。


税額控除
もう一つの方法は「税額控除」で、取得原価の10%分を法人税から直接差し引くことができます。

たとえば、5000万円の設備投資を行い、税額控除10%が適用されると、法人税から500万円を控除でき、最終的な納税額を直接減らすことが可能です。ただし、資本金が3000万円から1億円の法人の場合は控除率が7%になります。


どちらを選ぶかは、会社の資金繰りや経営状況に応じて、顧問税理士さん等と相談して決めましょう。



2-3 経営力向上計画のA類型とB類型

経営力向上計画には4つの類型がありますが、特に利用頻度の多いA類型とB類型の2つの類型を解説します。


A類型 生産性向上設備

生産性の向上を目的とした設備の導入を支援する類型です。

対象設備は、一定期間内に生産された設備の必要があります(※最新モデルである必要はありません)。

さらに、経営力の向上に関する指標が旧モデルと比較して年平均1%以上向上していることが要件です。ここでの指標とは、生産効率、エネルギー効率、精度が挙げられ、例えば新しい設備導入により生産性が1%向上すれば条件を満たすことになります。


・A類型の対象となる設備

設備分類取得価格販売開始時期
機械装置160万円以上販売開始から10年以内
測定工具および検査工具30万円以上販売開始から5年以内
器具・備品30万円以上販売開始から6年以内
建物附属設備60万円以上販売開始から14年以内
ソフトウェア70万円以上販売開始から5年以内


B類型 収益力強化設備

B類型は収益力の強化を目的とした設備投資を支援する類型です。

導入設備はA類型と同じですが、こちらは販売開始時期に指定がなく、オーダーメイド品も対象となります。

年平均の投資利益率(※1)が5%以上が見込まれる投資計画に記載された投資目的達成に必要不可欠な設備であることが要件になります。

※1 投資利益率の計算は以下の通りです。

引用:手引き



3 経営力向上計画のQ&A

3-1 最近導入した設備も対象になりますか?

図①:手引き


経営力向上計画において、基本的な設備導入のタイミングは「計画認定後」になります(図①)

図②:手引き

例外として、設備を先に取得した場合でも、取得日から60日以内に経営力向上計画が受理されれば、計画の適用を受けることができます。

ただし、設備を取得した事業年度内に認定を受ける必要があり、B類型は経産局の確認申請書の取得など手続きにかかる時間を考慮すると、計画承認に間に合わない可能性があるので注意が必要です。

そのため、原則は経営力向上計画の申請の後に設備を購入した方が確実です。


3-2 本社のリニューアル(修繕)等は対象になりますか

本社で収益事業を生み出す活動を行っていれば、B類型が対象となります。

例えば、本社ビルを改築してショールームを設け、そこで商談を行い売上を上げるような事業活動をする場合や、本社の一部を改装してテナントとして貸し出すといった場合には、B類型での要件を満たすことになります。
しかし、経営力向上計画では基本的には新しい設備やソフトウェアなど生産性や収益力の向上を目的とした導入が要件なので、生産性や収益とは関係のない設備の入れ替えや修繕に関しては、支援の対象にはなりません。


3-3 エアコンの設置・工事は対象になりますか?

店舗などに設置するエアコンは通常「機械装置」または「建物付属設備」として分類されます。

A類型・B類型ともに、生産性の向上や収益力の向上につながることを証明する具体的な事業計画書を作成する必要があります。

例えば、飲食店で猛暑時でもテラス席を活用できるようにエアコンを設置することで、これまで失われていた売上機会の分、売り上げにつなげるための計画が認定された事例があります。


3-4 店舗の新規出店等は対象になりますか?

店舗の改装や新規出店は、経営力向上計画のB類型の対象です。
B類型では、事業に必要な機械装置(暖房機器、シャンプー台など)の購入費用だけでなく、内装工事・電気設備工事・給排水工事など店づくりに係った工事費用も含まれます。

例えば、新店舗立ち上げのために、内装工事などの工事費用や家具などの備品を購入して収益を生み出す設備に必要な経費として提出した計画が認定された事例があります。



まとめ

経営力向上計画の認定を受けると、税制優遇や金融支援・法的支援などが受けられます。

今後の事業拡大を視野に入れている企業にとっては、活用すべき支援制度です。

ただし、申請方法や手続きが複雑なため、中小企業が通常業務の傍らで独自に申請することは非常に難しいです。

弊社は国より認められた認定支援機関として、経営力向上計画の認定実績も豊富に持っています。

申請を検討されている方や制度の詳細を確認したい方は、一度ご相談ください。


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