東京都内で設備投資を検討されている方に朗報です!
ポストコロナ等の事業環境の変化などの課題に対応するために経営基盤を強化する取組を支援する「事業環境変化に対応した経営基盤強化事業」の申請が開始されました。
本記事では事業環境変化に対応した経営基盤強化事業(一般コース)について解説しています。
1 事業環境変化に対応した経営基盤強化事業とは?
1-1 助成対象者
1-2 対象要件
1-3 助成対象経費
1-4 助成上限額・助成率
2 スケジュール・申請方法
2-1 スケジュール
2-2 申請方法
3 申請における重要ポイント
3-1 賃金引上げ計画とは?
3-2 アドバイザー派遣とは?
まとめ
東京都の事業環境変化に対応した経営基盤強化事業は「新たな事業環境に即納した経営展開サポート事業」の後継助成金であり、中小企業の創意工夫を活かして、既存事業を深化・発展させる取り組みを支援するための制度です。
これらの取り組みを通して、原材料価格や人件費の高騰に対応できる事業基盤を構築することを目的としています。
事業環境変化に対応した経営基盤強化事業の助成対象者は、以下の条件をすべて満たす必要があります。条件は以下の通りです。
1. 中小企業者・個人事業主のいずれかであること。(中小企業基本法に基づく) 2. 法人:本店(実施場所が都内の場合は支店でも可)の登記が都内にあること 個人:納税地が都内であること |
事業環境変化に対応した経営基盤強化事業の申請者は、事業の実施場所に応じて下記の条件を満たす必要があります。
実施場所 | 条件 |
東京都内 | 申請受付開始時点で東京都内に登記簿上の本店又は支店があること |
茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、神奈川県、山梨県 | 申請受付開始時点で東京都内に登記簿上の本店があること。 |
事業環境変化に対応した経営基盤強化事業の申請者は、下記のいずれかの要件を満たす必要があります。
1. 直近決算期の売上高が「2023年決算期」と比較して減少していること 2. 直近決算期において損失を計上していること 3. 米国関税措置等による影響で次期決算期の売上高が減少する見込みであること |
「2023年決算期」とは、決算月が2023年1月〜12月に属する決算期を指します。
具体例は以下の通りです。
(ex)
1. 決算期が12月の場合:2023年1月~2023年12月 2. 決算期が3月の場合は2022年4月~2023年3月 |
直近決算期の売上高が2023年決算期と比べて上がっている場合は、申請対象外となるため注意が必要です。
事業環境変化に対応した経営基盤強化事業の助成対象経費は以下の表の通りです。
経費区分 | 経費例 |
原材料費・副資材費 | 鋼材、機械部品、電機部品、化学薬品、試験用部品等 |
機械装置・工具器具費 | 製造機械、計測・測定・検査機器、金型、治具等 |
委託・外注費 (※1) | 開発・試験等、試料の製造・改造・加工・分析鑑定等 |
産業財産権出願・導入費 | 出願に関する調査、審査請求、登録、修正・更正に係る経費 |
規格等認証・登録費 | 認証・検査機関への申請手数料、成績証明書発行手数料、審査費用、登録証発行料、登録維持料(初 回のみ) |
設備等導入費 | 設備・備品等の購入費、直接仮設費、運搬費、 搬入 |
システム等導入費 | システム構築、ソフトウェア、ハードウェア、クラウドサービス |
専門家指導費 | 外部専門家への謝金・交通費等、外部研修の受講料等 |
不動産賃借料 | 本事業の取組に必要な事務所、施設等 |
販売促進費(※2) | 自社 Web サイトの制作・改修委託費など |
その他経費(※2) | 本事業の取組に直接必要な経費で、他の経費区分に属さないもの |
※1 委託・外注費のうち「市場調査費」だけでの申請はできません。
※2 販売促進費で受け取れる助成金の上限額は200万円です。一方でその他経費で受けとれる助成金の
上限額は100万です。
環境変化に対応した経営基盤強化事業助成上限額・助成率は以下の表の通りです。
助成上限額 | 助成率 |
800万円 | 2/3(中小企業者:3/4、小規模事業者:4/5以内) |
※「賃金引上げ計画」を策定し実施することで、中小企業者では助成率が3/4、小規模事業者では助成率が4/5に上昇します。
環境変化に対応した経営基盤強化事業のスケジュールは以下の通りです。
引用:公募要領
現時点で確定している日程は以下の通りです。
申請受付:2025年5月2日(金)am9:00~ 申請締切:2025年5月14日(水)pm16:00~ 書面審査:2025年6月~ 面接審査:2025年7月4日(金)~2025年7月17日(木) |
※現在(2025年5月16日)本助成金の第1回目の申請期間は終了しています。申請を希望される方は、第2回目以降の申請受付に備えて、公式ホームページを確認するようにしてください。
第1回の申請に間に合わない方は、第2回以降の申請に備えて準備しましょう。
各募集回の日程は以下の通りです。
募集会 | 申請受付期間 |
第1回 | 2025年5月2日~2025年5月14日 |
第2回(予定) | 2025年7月1日~2025年7月14日 |
第3回(予定) | 2025年9月1日~2025年9月12日 |
第4回(予定) | 2025年11月4日~2025年11月14日 |
第5回(予定) | 2026年1月5日~2026年1月14日 |
第6回(予定) | 2026年3月2日~2026年3月13日 |
環境変化に対応した経営基盤強化事業の申請方法は以下の手順で行います。
①GビズIDの準備
事業環境変化に対応した経営基盤強化事業の申請はjグランツ(電子申請システム)より行います。
jグランツを利用するためには「GビズIDプライムアカウント」を取得する必要があります。
※GビズIDプライムアカウントの取得には1週間ほどかかるため、あらかじめ準備しておくことが重要で
②申請書類の準備
事業環境変化に対応した経営基盤強化事業の申請時に必要な書類は以下の通りです。
・申請様式 ・反社会勢力排除に関する誓約書 ・助成金申請に関する誓約書 |
③Jグランツにて
事業環境変化に対応した経営基盤強化事業の申請はjグランツ(電子申請システム)より行います。
jグランツの詳細は公式ホームページよりご確認ください。
引用:公募要領
書類審査を通過できなかった場合でも、準備した資料は第2回目の申請に活用することができるので、あらかじめ準備しておくことが重要です。
※第1回の書類審査を通過された方は上記表の該当する書類を提出する必要があります。提出期間は6月 の下旬に予定されています。
※履歴事項全部証明書は発行後3ヶ月のものとなるため、注意しましょう。
「賃金引上げ計画」とは本助成金の申請時に賃金引上げ計画と関係書類を提出し、事業の実施後に賃金引上げ計画を達成することで、助成率が上がる制度です。
賃金引上げ計画の詳細は以下の通りです。
【助成率】
賃金引上げ要件達成後の助成率は以下の通りです。
賃金引き上げ前 | 賃金引き上げ後 | |
中小企業者 | 2/3 | 3/4以内 |
小規模事業者 | 4/5以内 |
※賃金引き上げ計画で策定した条件を満たすことができなかった場合、助成率は2/3となり ます。
(ex)
対象経費の額が600万円の場合
申請区分 | 補助率 | 助成金額 |
通常 | 2/3 | 400万円 |
賃金引上げ計画を実施した中小企業者 | 3/4 | 450万円 |
賃金引上げ計画を実施した小規模事業者 | 4/5 | 480万円 |
【要件】
要件を満たすには下記の1と2を全て満たす必要があります。
1. 賃金引上げ計画期間中において、すべての従業員(役員を除く。パートやアルバイト も含む)への給料の合計額を、基準日(2025年4月1日(火))の前月からさかの ぼって12か月間に支払った給与支給額総額が賃金引き上げ計画と比較して2%以上増 加していること 2. 助成事業実施場所内最低賃金を地域別最低賃金+30円以上の水準にすること。 |
【賃金引上げ要件の達成例】
賃金引上げ計画における達成例は以下の通りです。
項目 | 現状(基準値) | 事業実施後(目標値) | 増加額 |
年間給与支給総額 | 500万円 | 510万円 | 10万円(+2%) |
事業場内最低賃金 | 1,163円 | 1,193円 | +30円 |
※要件1の場合2024年4月1日〜2025年3月31日が対象日となります。
また、助成金の支払が完了した翌月から12ヶ月間が賃金引き上げ計画の対象期間となり ます。
【助成金の交付タイミング】
賃上げ引上げ計画を申請した場合、助成金を2回に分けて受け取ることになります。
助成金交付のタイミングは以下の通りです。
1回目:実績報告・完了報告の後に受け取り(2/3)2回目:1回目の助成金の支払いが完了し、次の12ヶ月間の賃上げ引上げ計画達成後に受け取 り(残りの3/4 または 4/5) |
(ex)
中小企業者で、助成対象経費600万円 助成金額450万円(助成率3/4)の場合 1回目:600万円×2/3=400万円2回目:450万円-400万円=50万円 |
助成金交付に関する詳しい詳細は公募要領をご確認ください。
事業環境変化に対応した経営基盤強化事業では「アドバイザーによる派遣」が実施されます。アドバイザー派遣の詳細は以下の通りです。
【内容】 「アドバイザー派遣」では経営アドバイザーが事業実施場所に派遣され現場や帳簿の確認を行い適切な助言等を行います。 【実施時期】 本助成金では最大2回のアドバイザー派遣が実施されます。実施時期は以下の通りです。 ・交付決定日以降(任意) ・完了検査時(必須) |
本記事では事業環境変化に対応した経営基盤強化事業について解説しました。
事業環境変化に対応した経営基盤強化事業は、最大で助成率が4/5と大きい助成金で原材料費や不動産賃借料など幅広い経費が対象となります。
昨年の「新たな経営環境に即応した経営展開サポート事業」も申請が殺到したため、後継助成金である事業環境変化に対応した経営基盤強化事業においても申請の殺到が予想されます。
当ブログでは、事業環境変化に対応した経営基盤強化事業など東京都の助成金に関する情報を定期的に発信しています。
メルマガにご登録いただくと最新の助成金情報や申請のコツをお届けしますので是非ご登録ください。
© new beginnings japan All rights reserved.
TOPに戻る