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製造業向けの節税対策とは?3つの税制優遇制度を解説

製造業を経営するうえで、法人税の支払いは避けて通ることができません。

とはいえ、法人税の支払額を減らすために適切な節税対策を行うことは経営にとっては重要な施策となります。ただ、物品やサービスの購入など、決算に向けて出費することは、あまり良い節税対策とはいえません。

それでは、製造業における節税対策には、どのようなものがあるのでしょうか。

今回は製造業で使える可能性がある、3つの税制優遇制度について解説します。

製造業が使える3つの税制優遇制度

製造業で使える節税対策として、今回は以下の3つの税制優遇制度を解説していきます。

・先端設備等導入計画
・経営力向上計画
・中小企業投資税制

先端設備等導入計画

1つ目は「先端設備等導入計画」です。こちらは中小企業が設備投資を通じて、労働生産性の向上を図るための計画です。計画の認定を受けた後、計画内に記載した設備を購入すると、その設備にかかる固定資産税が軽減できるようになります。

先端設備等導入計画の申請先は、設備投資を行う本社・事業所がある市区町村です。ただし、その市区町村が国から「導入促進基本計画」の同意を受けている必要があります。

先端設備等導入計画の対象者

先端設備等導入計画の対象者は、以下のとおりです。

製造業その他

資本金の額又は出資の総額:3億円以下
常時使用する従業員の数:300人以下

卸売業

資本金の額又は出資の総額:1億円以下
常時使用する従業員の数:100人以下

小売業

資本金の額又は出資の総額:5千万円以下
常時使用する従業員の数:50人以下

サービス業

資本金の額又は出資の総額:5千万円以下
常時使用する従業員の数:100人以下

ゴム製品製造業

資本金の額又は出資の総額:3億円以下
常時使用する従業員の数:900人以下

ソフトウェア業又は情報処理サービス業

資本金の額又は出資の総額:3億円以下
常時使用する従業員の数:300人以下

旅館業

資本金の額又は出資の総額:5千万円以下
常時使用する従業員の数:200人以下

先端設備等導入計画の対象設備

先端設備等導入計画では、設備の導入が不可欠となります。どのような設備が対象になるのか。以下のとおりです。

機械装置
160万円以上

工具
30万円以上

器具備品
30万円以上

建物付属設備
60万円以上(家屋と一体で課税されるものは対象外)

先端設備等導入計画の要件

先端設備等導入計画では、申請する際に定められた要件を満たす必要があります。要件は以下のとおりです。

・3年~5年のいずれかで目標を達成する計画であること
・基準年度と比べて、労働生産性が年平均3%以上向上すること
・設備は「投資利益率が年平均5%以上となることが見込まれる」こと
・投資利益率を達成するための「投資計画」は、認定経営確認等支援機関による事前確認を受けること

先端設備等導入計画の認定で受けられる支援

先端設備等導入計画が認定されると、導入した設備にかかる固定資産税の特例が受けられるようになります。

<計画内で賃上げ表明をしない場合>
3年間、課税標準を1/2に軽減

<計画内で賃上げ表明をした場合>
4年間、課税標準を1/3に軽減

経営力向上計画

2つ目は「経営力向上計画」です。こちらは中小企業等経営強化法に基づき、人材育成やコスト管理、マネジメントの向上や設備投資など、自社の経営力の向上のために実施する計画のことをさします。

申請先は事業分野に該当する主務大臣で、認定が受けられると税制措置が受けられるようになります。

経営力向上計画の対象者

経営力向上計画の対象者は、以下のとおりです。

・資本金の額又は出資金の額が1億円以下の法人
・資本又は出資を有しない法人のうち常時使用する従業員数が1,000人以下の法人
・常時使用する従業員数が1,000人以下の個人
・協同組合等

また、以下に該当する事業である必要があります。

製造業、建設業、農業、林業、漁業、水産養殖業、鉱業、採石業、砂利採取業、卸売業、道路貨物運送業、倉庫業、港湾運送業、ガス業、小売業、料理店業その他の飲食店業(一定の類型を除き、料亭、バー、キャバレー、ナイトクラブ、その他これらに類する事業を除きます。)、一般旅客自動車運送業、海洋運輸業及び沿海運輸業、内航船舶貸渡業、旅行業、こん包業、郵便業、損害保険代理業、不動産業、情報通信業、駐車場業、物品賃貸業、学術研究、専門・技術サービス業、宿泊業、洗濯・理容・美容・浴場業、その他の生活関連サービス業、教育、学習支援業、医療、福祉業、協同組合(他に分類されないもの)、サービス業(他に分類されないもの)

経営力向上計画の対象設備

経営力向上計画も設備の導入が不可欠となります。どのような設備が対象になるのか。以下のとおりです。

機械装置
160万円以上

工具
30万円以上

器具備品
30万円以上

建物付属設備
60万円以上

ソフトウェア
70万円以上

経営力向上計画の要件

経営力向上計画は、申請する類型によって満たすべき要件が変わります。

生産性向上設備(A類型)
生産性が旧モデルと比較して、平均1%以上向上する設備であること

収益力強化設備(B類型)
投資収益率が年平均5%以上になることが見込まれ、投資計画は経済産業局の確認を受けること

デジタル化設備(C類型)
可視化、遠隔操作、自動制御化のいずれかに該当する設備で、投資計画は経済産業局の確認を受けること

経営資源集約化設備(D類型)
事業承継を行った後に設備を取得して、修正ROA又は有形固定資産回転率が一定割合以上を満たした上で、投資計画は経済産業局の確認を受けること

経営力向上計画の認定で受けられる支援

経営力向上計画が認定されると、中小企業経営強化税制に基づき、

・即時償却
・取得価額の10%の税額控除(資本金3,000万円~1億円以下の場合は7%)

いずれかを選択し、適用することができます。

即時償却ですが、通常は減価償却として処理するものを一括で償却できるようになります。つまり、支出することなく、キャッシュがある状態で利益を減らすことができて、結果として法人税の支払額の減額につながります。

税額控除ですが、通常支払う法人税から、取得価額の10%分の金額の支払いが免除されます。なので、法人税の支払額を直接減らすことができます。

中小企業投資税制

3つ目は「中小企業投資税制」です。こちらは中小企業の生産性を向上を目的とした設備投資を行った場合に、税額控除か特別償却が適用される制度です。

利用にあたって、特別な手続きは必要ありません。確定申告書への書類添付や必要事項を記入して申請するだけで適用されます。

中小企業投資税制の対象者

中小企業投資税制の対象者は、以下のとおりです。

・資本金の額又は出資金の額が1億円以下の法人
・資本又は出資を有しない法人のうち常時使用する従業員数が1,000人以下の法人
・常時使用する従業員数が1,000人以下の個人
・協同組合等

いずれも青色申告書を提出することが必要となります。

また、以下に該当する事業である必要があります。

製造業、建設業、農業、林業、漁業、水産養殖業、鉱業、卸売業、道路貨物運送業、倉庫業、港湾運送業、ガス業、小売業、料理店業その他の飲食店業(料亭、バー、キャバレー、ナイトクラブその他これらに類する事業については生活衛生同業組合の組合員が行うものに限る。)、一般旅客自動車運送業、海洋運輸業及び沿海運輸業、内航船舶貸渡業、旅行業、こん包業、郵便業、通信業、損害保険代理業及びサービス業(映画業以外の娯楽業を除く)、不動産業、物品賃貸業※性風俗関連特殊営業に該当するものは除く

中小企業投資税制の対象設備

中小企業投資税制では、設備の導入が不可欠となります。どのような設備が対象になるのか。以下のとおりです。

機械装置
1台あたり160万円以上

測定工具及び検査工具
1台あたりの取得価額120万円以上
1台30万円以上かつ複数合計120万円以上

ソフトウェア
1つあたり70万円以上かつ複数合計70万円以上

貨物自動車
車両総重量3.5トン以上

内航船舶
取得価格の75%が対象

中小企業投資税制で受けられる支援

中小企業投資税制で受けられる支援は、以下のとおりです。

個人事業主・資本金3,000万円以下の中小企業の場合
30%特別償却又は7%税額控除

資本金3,000万円超の中小企業
30%特別償却

3つの税制優遇制度の使い方

今回は、先端設備等導入計画、経営力向上計画、中小企業投資税制という3つの税制優遇制度をお伝えしました。気になるのは、それぞれの活用方法ではないでしょうか。簡単にまとめます。

先端設備等導入計画

導入した設備の固定資産税の支払額を減らしたい場合

経営力向上計画

導入した設備の即時償却、または法人税を減額(取得価額の10%)したい場合

中小企業投資税制

導入した設備の30%償却、または法人税を減額(取得価額の7%)したい場合

まず、経営力向上計画と中小企業投資税制は、特別償却と法人税の減税が行えます。ただし、申請・認定が必要な経営力向上計画の方が、より大きい支援が受けられるというものになります。

一方の先端設備等導入計画は、固定資産税の減額のみとなります。

また、先端設備等導入計画と経営力向上計画または中小企業投資税制は併用することも可能です。併用することで、より大きな節税対策ができるようになるでしょう。

まとめ

今回は製造業で使える可能性がある、3つの税制優遇制度について解説しました。

計画書を申請して認定を受けることによって、固定資産税や特別償却または法人税の控除が行えるようになります。また、併用することも可能なため、組み合わせることでより節税対策が行えるようになります。

ただし、先端設備等導入計画と経営力向上計画の場合は、計画書の認定を受けるまでは、設備を導入することができません。先に設備を導入してしまうと税制優遇が受けられなくなるので注意が必要です。

設備の導入を検討していて、税制優遇制度を利用したいという場合は、設備の導入の前に認定経営革新等支援機関である当社までご相談ください。


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