先日、IT導入補助金が2025年も実施されることが決まりました。
過去の申請枠で 採択率が70%を超える枠があるほど高い採択率を誇るこちらの補助金ですが、今年度はIT活用の定着を促す導入後の活用支援が含まれるほか、最低賃金付近の給与を支払う事業者を対象に、一部の支援枠で補助率が引き上げられるなど、前年度よりも補助内容がさらに手厚くなっています。
本記事では、2025年度のIT導入補助金を徹底的に解説していきます。
1 2025年のIT導入補助金について
1-1 IT導入補助金の概要
1-2 2024年IT導入補助金との変更点
2 2025年のIT導入補助金の申請枠
2-1 通常枠
2-2 インボイス枠(インボイス対応類型)
3 2025年のIT導入補助金の申請
3-1 申請フロー
3-2 申請スケジュール
4 2025年のIT導入補助金活用でのポイント
4-1 過去の採択者も再度申請が可能
4-2 早めに申請を行う
まとめ
引用:チラシ
IT導入補助金は、日本の中小企業や小規模事業者がソフトウェアやITサービスを導入する際の費用を支援する制度です。
この補助金は、ITツールを活用して業務効率化や売上向上を図り、日本経済全体の競争力を強化することを目的としており、ほかの補助金と比較して採択率が高く、公募回数も多いのが特徴です。
2024年のIT導入補助金からの変更点は、主に3つあります。
1 通常枠の補助率拡大 2 セキュリティー対策推進枠の補助額、補助率拡大 3 補助対象ITツールの拡大 |
1 通常枠の補助率拡大
最低賃金付近の給与を支払う事業者に対する補助率が「2/3」に引き上げられました。
※対象:3か月以上地域別最低賃金+50円以内で雇用している従業員が、全従業員の30%以上を占める事業者
2 セキュリティー対策推進枠の補助額、補助率拡大
補助額の上限を「150万円」へ拡大し、小規模事業者に対する補助率を「2/3」へ拡大しました。
3 補助対象ITツールの拡大
IT活用の定着を促す導入後の「活用支援」や、統合業務に関連する機能が新たに対象に加えられています。
統合業務とは具体的に、「ビジネスアプリ作成」、「ワークフロー」、「BI、分析・解析」等の機能を持つツールで、企業の業務効率化やデータ分析能力の向上に寄与することが期待されています。
2025年のIT導入補助金には、以下の5つの申請枠があります。
通常枠: 生産性向上のためのITツール(ソフトウェア・サービス)の導入費用を支援。クラウド利用料や関連費用も対象。 インボイス枠: インボイス制度対応を目的とした支援枠。会計・受発注・決済ソフトやPC・タブレット・レジなどのハードウェア導入費用も対象。 セキュリティ対策推進枠: サイバーセキュリティ対策に必要なサービス利用料を支援。 複数社連携IT導入枠: 10社以上の中小企業が連携して行うIT導入を支援。 インボイス枠(電子取引類型): 大企業が費用を負担し、中小企業が無償で利用できるインボイス対応の受発注ソフト導入を支援。 |
2024年のIT導入補助金では、主に通常枠とインボイス枠(インボイス対応型)に申請が集中し
特にインボイス枠(インボイス対応型)は申請数・採択数ともに他の枠を大きく上回り、採択率も72.1%と高水準です。
本記事では、特に人気な「通常枠」と「インボイス枠(インボイス対応型)」に絞って説明します。
通常枠は、中小企業や小規模事業者が働き方改革や賃上げ、インボイス制度の導入などに対応するため、生産性向上に役立つITツールの導入費用を支援する制度です。
【補助対象事業者】 ・中小企業、小規模事業者等 【補助対象経費】 ・ソフトウェア購入費: 業務効率化や生産性向上に寄与するソフトウェアの導入費用。 ・クラウド利用料: 最大2年間分のクラウドサービス利用料・導入関連費:保守サポートやマニュアル作成など導入に関連する費用、IT活用の定着を促すための導入後の活用支援費用。 【補助額】 業務プロセスが1~3つの場合:5万円~150万円未満プロセスが4つ以上の場合:150万円~450万円以下 【補助率】通常補助率:1/2以内(※2/3以内) ※特例条件:3か月以上、地域別最低賃金+50円以内で雇用している従業員が全従業員の30%以上であることを示した場合。 【製造業での活用事例】 ・CAD/CAMシステムを導入し、設計ミスを減少することでリードタイムが大幅に短縮 ・Iotセンサーを導入したところ、設備稼働率の向上だけでなく、故障の予兆を早期発見できるようになり、生産性向上に成功 |
インボイス枠(インボイス対応類型)は、中⼩企業・⼩規模事業者等に、インボイス制度に対応したITツールの導⼊を⽀援する制度です。
【補助対象事業者】 インボイス制度に対応するためのITツールを導入する中小企業や小規模事業者 【補助対象経費】 ■ソフトウェア関連経費・購入費: 会計、受発注、決済機能を持つソフトウェアの導入費。・オプション費: 機能拡張やデータ連携、セキュリティ関連の費用。・役務費: コンサルティング、設定、マニュアル作成、導入研修などの費用。 ■ハードウェア関連経費・PC・タブレット・プリンター: ソフトウェア使用に必要なハードウェアの購入費。・POS機器: 決済機能を持つソフトウェア導入に必要なハードウェア購入費。 【補助額・補助上限額】ソフトウェア・1機能以上の場合、補助額は50万円以下であれば補助率は3/4(小規模事業者は4/5)・50万円を超える場合、50万円以下の部分は3/4、超える部分は2/3の補助率が適用(最大350万円) ハードウェア: PCやタブレットは最大10万円、POSレジは最大20万円まで補助され、補助率は1/2です 【製造業の活用事例】 ・インボイス制度に対応した会計ソフトを導入したところ、経理業務の負担を軽減され、業務効率が向上 ・インボイス制度に対応したPOSシステムを導入し、販売データの分析できるようになり、マーケティング戦略の立案に成功 |
引用:公式HP
①本事業の理解
まず、申請者はIT導入補助金の目的や対象となる事業内容を正しく理解することから始めます。これは申請手続きを進める上での土台となります。
公募要項についてはこちらを参照ください。
②gBizIDプライムの取得・SECURITY ACTION宣言
申請にはgBizIDプライムアカウントの取得が必要です。このアカウントの取得には約2週間かかるため、早めに手続きを進めることが推奨されます。
また、「SECURITY ACTION」の自己宣言を行い、自社が情報セキュリティ対策に取り組む姿勢を明確に示します。
③ITツールの選定
自社の業種、事業規模、経営課題を解決するために適切なITツールを選定します。
この際、IT導入支援事業者と相談しながら進めることで、より効果的な選定が可能となります。
④交付申請
IT導入支援事業者から「申請マイページ」の招待を受けます。
ITツール導入による効果や目標を明確にした事業計画書を作成し、必要な書類を揃えてオンラインで交付申請を行います(2025年3月下旬から開始予定)。
⑤審査と交付決定
提出された事業計画書を基に審査が行われ、審査を通過すれば補助金の交付が決定されます(1か月程度目安)。
2025年度のIT導入補助金の具体的な申請スケジュールについてはまだ不明確です。
ITベンダーを対象とした、IT導入補助金で活用できるITツールの登録申請手続きは、2025年1月31日(金)から開始します。
そして実際に製造業の方でIT導入補助金を申請できるようになるのは、2025年3月下旬頃から受付開始の予定です。
過去のデータでは、申請は複数回に分けて行われ、各枠ごとに締切日が設定されており、締め切り日から約1か月で交付決定となります。
正式な発表があるまで変更される可能性があり、申請を検討している方は、情報収集と早めに準備を進めることが重要です。
過去にIT導入補助金を活用した事業者も、2025年の補助金申請に再度申請することが可能です。
ただし、過去に採択された実績があっても、新たな要件や条件が設定されている場合もあるので、最新の情報をしっかり確認し、改めて申請準備を行うことが重要です。
2024年度のIT導入補助金では、最終回の採択率が大幅に低下しました。
例えば、過去採択率75~80%あった通常枠の採択率は26.1%、90%を超える高い採択率をだったインボイス枠は約10.6%でした。
この低い採択率は予算の残りや不正受給の影響によるものと考えられ、2025年も同様のリスクが予想されます。
そのため、早めに申請を行うことで、審査や予算の状況に余裕を持って対応し、採択のチャンスを高めることができます。
今回は2025年度のIT導入補助金について解説しました。
IT導入補助金を活用することで、業務効率化やDX推進、サイバーセキュリティ対策など、ITシステム導入費用を実質抑えることができます。
補助金の活用は複雑な部分も多いですが、しっかりと準備をして挑めば採択率が高く、非常に活用しやすい補助金でもあります。
IT導入補助金の公募にタイミングに関して正式なものは発表されていませんが、2024年の補助金の公募時期をもとに予測することもできます。
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