補助金は、国や自治体が企業の事業拡大や新規事業を資金面からサポートする制度です。
しかし、補助金には様々な種類があり、補助対象や申請方法などが異なるなど、複雑になっているのが現状です。
本記事では補助金の基本的な仕組みや申請方法についてわかりやすく説明します。
目次
1補助金とは
1-1補助金とは?
1-2補助金と助成金の違い
1-3補助金活用のメリット・デメリット
2補助金を受け取るまで
2-1補助金について知る
2-2補助金の申請
2-3採択
2-4事業の実施
2-5補助金の交付
3補助金の事例
3-1経営展開サポート事業とは
3-2経営展開サポート事業の概要
3-3経営展開サポート事業の実施事例
4補助金の専門用語と誤解
4-1補助金用語
4-2誤解
5まとめ
補助金とは、国や自治体が、人手不足解消のための設備投資やシステム導入といった公益性が認められた事業者の取り組みを金銭的に支援する制度です。
補助金の目的や対象となる事業によって、補助金額や補助率、申請方法が異なります。
補助金を上手に活用すれば、事業の成長や会社の業績に大きな影響を与えることもあるため、資金調達の手段の一つとして検討する価値があります。
補助金と助成金は、どちらも国や地方公共団体が事業者を支援するために提供する制度ですが、いくつか違いもあります。
上の比較表からも分かるように、補助金と助成金では目的や支援内容の規模が大きく異なっています。※上記の相違点は各制度により異なる場合があります。
補助金を活用することで、事業に大きなプラス効果が期待できる一方で、いくつかのデメリットもあります。
メリット | デメリット |
・事業の成長を加速 ・資金調達の支援 ・事業計画の見直し機会 | ・申請の手間と時間 ・不採択のリスク ・報告義務の負担 |
特に助成金や給付金とは異なり、要件を満たせばとか、申請すれば補助金が必ずもらえる、というものではないので注意が必要です。
補助金には多くの種類があり、応募条件や補助対象、実施期間がそれぞれ異なるため、これから取り組む事業に適した補助金を見つけて、効果的に活用することが大切です。
例えば、コロナの影響で売上が減少した事業者が、新しい事業に取り組みに対する支援を行う補助金は「事業再構築補助金」。
小規模事業者が、販路開拓等の取り組みに対する支援を行う補助金は「小規模事業者持続化補助金」。
このような補助金があるので、適切な補助金を利用するために、以下のポイントを事前に確認しておくことが重要です。
確認項目
・事業と補助金の目的や趣旨の合致
・応募条件
・応募期間
・申請方法
・必要書類
・補助対象経費
・補助率(対象経費の何%が補助されるか)
・補助上限額
・実施後の義務
・スケジュールの確認
審査には、主に書類審査と対面orオンライン審査の2種類があります。
・書類審査
書類審査では、公募要領に従い、必要な書類をすべて準備し、事務局に提出する必要があります。補助金の種類によって必要書類は異なるため、公式サイトから必ず最新の情報を確認してください。
・対面orオンライン審査
補助金によっては、書類審査の後に対面審査orオンライン審査があります。事業の目的や具体的な計画を論理的に説明する必要があり、プレゼン・質疑応答の対応がメインになります。
補助金の採択結果は、事務局から通知されます。
採択された場合、補助金を受け取るために「交付申請」を行う必要があります(※1)。
交付申請は、補助金を正式に受け取るための手続きで、この段階で提出した経費の妥当性が審査され、最終的に補助金の交付が決定されるため、採択のタイミングで補助金が支給されるわけではないので注意が必要です。
※1 小規模事業者持続化補助金など補助金によっては交付申請の過程がないものもあります。
経費の妥当性で問題なかった場合は「交付決定」となり、事業開始となります。
これにより、ようやく計画書に記載した対象物の購入ができるようになります。
なお、審査前・審査中・交付決定の前に購入すると、補助金の対象経費から外れてしまうので、注意が必要です。
補助金の対象経費については、すべての領収書や証拠書類を適切に保管する必要があります。
また、事前の承認なしに事業内容を変更したり、計画と異なる事業を行った場合は、補助金が交付されないことがあるので、事業内容に変更が生じる場合は、必ず事前に所定の手続きを行いましょう。
事業が完了した後、事業内容や経費を報告するために「実績報告」を行います。
実績報告が確認された後に補助金額が最終的に確定し、補助金を受け取ることができます。
補助金交付後も、対象経費に関連する領収書や証拠書類を最低5年間保管する義務があります。
一部の補助金では、定期的な事業状況の報告や、事業で得た利益の一部を返還する必要が生じることもあります。
ここでは、実施事例として、現在募集している「新たな事業環境に即応した経営展開サポート(以下、経営展開サポート)」という助成金の紹介をします。
東京都の場合は補助金ではなく助成金と表記されるので、この助成金は実質補助金と考えてもらって問題ありません。
経営展開サポート事業は、コロナ後の需要回復や消費者ニーズの変化に迅速に対応するため、既存事業の深化や発展を目指す企業に対し、資金面での補助を行う制度です。
この事業の目的は、東京都内の中小企業の経営基盤を強化することです。
・対象者 過去に本事業で交付をうけていない東京都内の中小企業(個人事業主を含む)
・応募条件
1)直近決算期の売上高が「2019年の決算期以降のいずれかの決算期」と比較して減少していること
2)直近決算期において損失を計上している・助成限度額 助成対象経費の2/3以内
・助成限度額 800万円(千円未満切捨て)
・助成対象経費 原材料・副資材日、機械装置・工具器具費、委託・外注費、産業財産権出願費・導入費、規格認証等・登録費、設備等導入費、専門家指導費など
経営展開サポート事業を活用した事例として、東京都内でパンを製造している会社を紹介します。
この会社では、今年度は原材料や人件費の高騰により業績は赤字となりました。
A社はこの状況を乗り切るために、助成金を活用して新しい機械を導入することにしました。
【詳細】
設備導入:全自動食パン製造機器 導入目的:製造ラインを自動化することで生産性の工場と人件費の削減を図る。 導入費用:1200万円 経営展開サポート事業の利用効果 ・助成額 1200万×2/3=800万円 ・自己負担額 1200万-800万=400円 助成金を利用したことで1200万円の機械を実質400万円で導入することができた。 |
最後に、補助金のページや公募要領などで明記されている専門用語とよくある誤解・質問をまとめます。
・補助率:補助対象経費のうち補助金で賄われる割合のことで、補助率2/3の場合、対象経費の3分の2が補助金として支給されます。
・補助対象経費:補助金の対象となる経費のことで、補助事業のすべてが補助されるわけではありません。
・採択:補助金や助成金の申請が審査を経て、支給対象として選定されることを指します。
・交付決定:申請内容が審査を通過し、補助金の交付が決定されたことを示す通知で、この通知以降に発生した経費が補助対象となります。
・実績報告書:補助金を受け取った後に、実際にその資金をどのように使ったかを報告する書類です。
①審査制
補助金は審査があり、要件を満たしても必ず採択されるわけではありません。
また、補助金によって採択の難易度も変わってきます。
補助金にもよりますが、書類の提出から採択発表までの期間は、大体1〜3ヶ月くらいです。
②補助金を受け取れるタイミング
補助金は原則として後払いです。
経費を購入して事業を完了させて、実績報告を行ってからの支給となります。
そのため、採択から1年以上先になるケースがほとんどです。
③補助金額
多くの場合、交付決定前の発注・契約・支出は対象外で、これから実施する事業に対する経費が対象です。
補助金を有効に活用することで、自己負担額を軽減することができます。
しかし、補助金を活用するには細かい応募条件や申請の準備など多くの手間がかかります。
そのため、これまで補助金を活用したことがない企業が、単独で補助金の申請を行うことは非常に大変です。
弊社では補助金の申請支援を行っていますので、「補助金を活用してみたい」「もっと詳しい話を聞いてみたい」という方は、お気軽にご相談ください。
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