現在、製造業の取り組む課題としてカーボンニュートラルがあります。
しかし、カーボンニュートラルは多くの企業にとって必要だとわかっていてもまだまだ手を出しにくいのも事実です。
そこで今回は、カーボンニュートラルが注目されるようになった背景やメリット、取り組むステップをご紹介します。
目次
カーボンニュートラルとは
カーボンニュートラルの背景
カーボンニュートラルのメリット
・企業イメージの向上
・コスト削減
・従業員の意識改革
・補助金など資金調達で有利
カーボンニュートラルの問題点
・初期費用が高い
・検証が難しい
カーボンニュートラルの事例
・Apple
・トヨタ
・イオン
・セコム
カーボンニュートラルに取り組む2ステップ
・知ること、考察すること
・戦略を練り、実行する
まとめ
カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させることを意味します。
温室効果ガスとは二酸化炭素をはじめ、太陽光の熱を蓄え、地表の温度を一定に保つ働きを持った気体のことです。
政府は2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、カーボンニュートラルを目指すことを宣言しました。
全体をゼロにするというのは、排出せざる終えなかった分については同じ量を吸収、または除去することで差し引きゼロを目指すということである。
そのため、非現実的だと言われていたCO2排出量ゼロを実現した社会である脱炭素社会とは異なる概念です。
カーボンニュートラルを目指すとなったのは気候危機を回避するためでした。
世界の平均気温は2020年時点で、工業化以前(1850~1900年)と比べ、既に約1.1℃上昇したことが示されています。
このままの状況が続けば、更なる気温上昇が予測されています。
これらの気候変動が豪雨、干ばつ、台風、自然災害をはじめ、水資源不足、自然生態系の崩れなど様々な問題を引き起こすと言われています。
将来の世代も安心して暮らせる、持続可能な経済社会実現のためにはカーボンニュートラルに取り組む必要があります。
私たち、そして将来の世代のためにもカーボンニュートラルに取り組む必要があります。
それは個人レベルではもちろんのこと、企業も率先して行わなければなりません。
そこで、次に企業としてカーボンニュートラルに取り組むメリットをまとめました。
メリットとしては大きく分けて以下の4つです。
・企業イメージの向上
・コスト削減
・従業員の意識改革
・補助金など資金調達で有利
企業の社会的責任や環境保護に対する意識が高いことをアピールすることができます。
単なる商業主義ではなく、地球環境とともに地域や住民と共生する姿を伝えることができれば、消費者からの支持を得ることができます。
そうすれば市場競争力の強化や企業間での信頼や認知度を高めることにもつながります。
エネルギー効率が上がったり、再生可能エネルギーを導入したりすることで、コストを削減することができます。
省エネルギーや再生可能エネルギーの導入には初期費用が必要ですが、長期的にはエネルギー使用量が削減することができます。
また自家発電による再生可能エネルギーは今後予想される化石燃料の高騰にも予防できます。
個人レベルでの環境問題への貢献は小さな一歩で、中々効果や影響を実感できにくいものです。
しかし、企業レベルであれば構成単位は大きく、社会への影響や効果を実感しやすくなるものです。
会社内での活動や商品・サービスを通して取り組むことで、地球環境に寄与しているという自負にもつながります。
金融機関ではカーボンニュートラルやSDGsに取り組んでいる企業に対して、融資基準が従来の事業融資よりも緩和されている融資などを準備している金融機関もあります。
また環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governence)を重視したESG投資が金融や投資家間では一般的になっています。
カーボンニュートラルの取り組みをすることでの補助金もあり、資金調達に有利に働く場合があります。
世の中の流れとしても、企業としてカーボンニュートラルへ取り組むことが非常に重要です。
しかし、カーボンニュートラルに取り掛かるにはいくつか問題も存在します。
今回はその中でも2つ紹介します。
・初期費用が高い
・検証が難しい
省エネルギー対策や再生可能エネルギーの導入などの大規模な投資が必要です。
そのため、取り組むための初期費用が非常に高くなることがあります。
例として、太陽光発電によって、二酸化炭素の排出量を1%削減するためには、毎年1兆円の費用がかかっていることが明らかとなっています。
温室効果ガスの排出量を正確に計測することが重要ですが、その検証が難しいことがあります。
先進国が発途上国に工場を持ち、開発途上国がカーボンニュートラルを達成できなかった場合、世界全体ではCO2が増加している可能性は大いにあり得ます。
このようにサプライチェーンなどで排出量を追跡することが大切である一方で、非常に難しいのが現状です。
ここからは実際にカーボンニュートラルに取り組んだ事例について4企業紹介します。
2030年までに事業全体、製造サプライチェーン、製品ライフスタイルのすべてを通じて、カーボンニュートラルを達成することを新しい目標として掲げました。
そのうえで、カーボンニュートラルを目指すさまざまな取り組みを、他企業に向けてロードマップとして提供することで、経済・産業界全体のカーボンニュートラル達成を促進しています。
カーボンニュートラル実現に貢献することを通じて、人と自然が共生する持続的な社会の構築を目指しています。
「トヨタ環境チャレンジ2050」における気候変動への対応として、「ライフサイクルCO2ゼロチャレンジ」「新車CO2ゼロチャレンジ」「工場CO2ゼロチャレンジ」を策定し、2015年に取り組みを開始しています。
2030年までに店舗使用電力の50%を再生可能エネルギーへ切り替え、2040年を目途に二酸化炭素などの排出量を総量でゼロにする目標を掲げています。
また、1991年から「買物袋持参運動」や「店頭資源回収活動」を実施するなど、消費者と一体となって、温室効果ガスの削減や資源の再利用にいち早く取り組んでいる点も特徴です。
さらに、食品廃棄物の量を2025年までに2015年の値と対比して半減させる目標を定め、食品リサイクルループの構築などに取り組んでいます。
2045年までに温室効果ガス排出ゼロを目指すとともに、2030年度までには2018年度比で45%削減を掲げています。
さらにサプライチェーン全体においても、2050年までには温室効果ガス排出ゼロを目指し、2021年7月には国際イニシアチブである「SBT」認定も取得しました。
排出量の70%を占めるオフィスの電力使用量を削減するために、省エネ機器の積極的な導入や、自社施設への太陽光発電設備の導入・グリーンエネルギー証書の購入・サプライチェーンへの説明会・理解と情報の共有等様々な面で取り組みを行っております。
では、実際にカーボンニュートラルに取り組むには何が必要でしょうか。
まずはカーボンニュートラルについて知る必要があります。
メリットは多いものの、まだまだ取り組むには問題点もあります。
企業における二酸化炭素の排出量や外部環境について理解し、カーボンニュートラルに取り組むことで起こりうる自社にとってのメリット・デメリットを考える必要があります。
自社の大方針を定め、企業が目指す方針に沿った取り組みを設定していきます。
水素や天然ガスのような、脱炭素資源を確保したり、太陽光発電機の設置などの環境を整えるなど社内の構造を整備します。
仕組みを整えたら、戦略を実行する必要があり、PDCAを回します。
目標達成に向けた計画を立て(Plan)、計画を実行し(Do)、定めた目標が達成出来ているかどうか、計画通りに実行できたかを評価します(Check)。
そして、評価で明らかになった課題や改善点を考え(Act)、課題を踏まえて再度計画を立てるサイクルを継続する必要があります。
本記事では、製造業の取り組む課題としてよく取り上げられるカーボンニュートラルについて解説しました。
未来の地球環境のことも考え、私たちは環境問題と向き合う必要があります。
企業としてカーボンニュートラルの取り組みに積極的に行っていくことは大きなメリットがあります。
もし初期費用の面で悩んでいる方がいれば、補助金申請の選択肢もあります。
補助金の活用を検討している方、ぜひお気軽にご相談ください。
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