そもそも「事業再構築補助金」とは?
その答えは、ポストコロナ・ウィズコロナ社会に対応するため、事業者が思い切った事業再構築に挑戦しようとするときに支援してもらえる補助金制度です。そして要件を満たせば、最大で1.5億円の補助金の交付が期待できます。
ウクライナ情勢の長期化・円安などの理由で加速する物価高の中、事業再構築補助金の第7回公募が7/1(月) 18:00に開始されました。
「原油価格・物価高騰」に対応した緊急対策枠の創設、審査項目の変更と新規追加、補助対象外事業に追加が行われております。今回は、第7回公募に応募するなら知っておきたいポイントをいくつかご紹介します。
目次 – 原油価格の推移・影響 |
NHK NEWSWEBが取り上げている経済産業省の資源エネルギー庁の給油所小売価格調査の発表によると、2022年7月11日時点でレギュラーガソリンの小売価格は全国平均172.7円(1リットルあたり)となっています。
また2020年からのレギュラーガソリンの小売価格の推移を見ていくと、2020年は140円以下で推移していたのが2021年になると徐々に高騰。2022年からは170円台超えの高値が続いているという状態がわかります。原油価格の高騰に関しては、コロナで経済活動が世界的に一時ストップしていたものがある程度回復してきており、それによる需要が急増したことや昨今のウクライナとロシアの対立による経済制裁により、供給が不安定になっていることが主な原因として考えられます。また最近では、円安などの影響で物価も高騰し、原油価格と物価の高騰による影響が様々な生活シーンに影響を及ぼしている状況です。
ここからは、新設された緊急対策枠についての具体的な内容を紹介していきます。
【第6回】加点措置のみ |
■足許で原油価格・物価高騰等の経済環境の変化の影響により、2022年1月以降のいずれかの月の売上高(又は付加価値額)が、2019年~2021年同月と比較して10%(付加価値額の場合15%)以上減少している事業者に対し、加点措置を行い、優先的に採択します。
※原油・小麦等の価格高騰により仕入れに係る経費が増加した場合、ロシアの禁輸
制裁の影響でロシアへの輸出量が落ち込んだ場合等
【第7回】原油価格・物価高騰等緊急対策枠 |
■新型コロナの影響を受けつつ、加えてウクライナ情勢の緊迫化等による原 油価格・物価高騰等の経済環境の変化の影響により業況が厳しい中小企業等が行う、新型コロナ をはじめとする感染症の流行など、ポストコロナ・ウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応した、危機に強い事業への事業再構築の取組に対し、新たな支援類型を創設し重点的に支援していきます。
この加点自体は第6次公募から存在していましたが、「原油価格・物価高騰等緊急対策枠」の新設により、加点項目からの削除が想定されていました。
しかし、加点項目として残りましたので、仮に緊急対策枠の要件に当てはまらない場合でも、この加点項目に当てはまるかは必ずチェックしましょう。
また、これまでの第1~5回事業再構築補助金の採択結果から、通常枠と比べて最低賃金枠などの特別枠の採択率が高いことがわかっております。
なので、今回の緊急対策枠も原油価格・物価高騰への対応として高めの採択率になるのではないかと推察できます。これらの特別枠で仮に不採択になった場合でも通常枠で再審査されるので、要件に合うなら、まずは通常枠以外で申請を検討されるのがオススメです。
■ 申請スケジュール
第7回の事業再構築補助金のスケジュールは、以下をご覧ください。
申請受付は8月下旬予定となり、応募締め切りが9月30日までなので、申請が開始されたらすぐに対応できるように事前準備が重要になります。
■ 電子申請の準備
事業再構築補助金の申請方法は、電子申請システムでのみの受付となります。
申請には、原則GビズIDプライムアカウントの取得が必要となり、アカウントの取得には、数週間要することもあります。事業再構築補助金の申請を検討されている方は、アカウントの取得だけでも必ず先に進めてくことを推奨します。
■ 緊急対策枠について(申請要件)
(1)事業再構築要件
事業再構築指針に沿った新分野展開、業態転換、事業・業種転換等を行う。
(2)緊急対策要件
足許で原油価格・物価高騰等の経済環境の変化の影響を受けたことにより、2022年1月以降の連続する6か月のうち、任意の3か月の売上高合計(又は付加価値額)が、2019~ 2021年同3か月と比較して10%(付加価値額の場合15%)以上減少していること。また、コロナによって影響を受けていること。
※電子申請時に、コロナによっても売上減少の影響を受けていることも申告するが必要があります。
(3)認定経営革新等支援機関と事業計画を策定する
事業計画を認定経営革新等支援機関と策定すること。補助金額が 3,000万円を超える案件は認定経営革新等支援機関及び金融機関 (金融機関が認定経営革新等支援機関であれば当該金融機関のみでも可)と策定していること 。
(4)付加価値額要件
補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均3.0%以上増加、又は従業員一人当たり付加価値額の年率平均3.0%以上増加する見込みの事業計画を策定すること。
「緊急対策枠」の場合は、コロナ前後での売上高減少要件は不要です。しかし、「通常枠」等にも申請できる売上高減少要件も満たしているものの、「高い補助率」「高いと想定される採択率」を狙って「原油価格・物価高騰等緊急対策枠」に申請する場合は、「コロナ以前に比べて売上高が減少したことを示す書類」も合わせて必ず用意し、提出しましょう。これによって、特別枠で不採択だった場合でも、通常枠で採択されるチャンスを得られます。
(注意事項)
通常枠等の場合、コロナ前の売上高を要件の確認に用いることから、2021年以降に創業した事業者は補助対象になりませんが、緊急対策枠においては、2022年と2021年の売上高を比較して緊急対策要件を満たす場合は補助対象になる可能性がございますので、ご確認ください。
他の枠と同様に、従業員数によって補助額が変わります。ここで注意すべき点は図の赤文字箇所になります。
例えば、従業員が5人以下をご覧ください。補助額が1000万円と書いてありますが、1000万円のうち500万円は補助率が3/4で、501万円から1000万円までは補助率は2/3になるので、注意して確認する必要があります。
補助金は、審査員により事業計画書を審査して頂き、採択の可否が決まります。
審査員に正しく審査をしてもらうためには、その審査項目の変更点をしっかり把握し、対応することが重要です。
第7回公募から審査項目(再構築点)の見直し箇所は、以下をご覧ください。
■ 審査項目の変更点
→再構築点の②に追記・⑤が追加
(※事業再構築補助金 公募要領 第7回 P38参照)
再構築点①→第6回公募から変更なし
事業再構築指針に沿った取り組みであるか。また、全く異なる業種への転換など、リスクの高い、思い切った大胆な事業の再構築をおこなうものであるか。※複数の事業者が連携して申請する場合は、連携体構成員が提出する「連携体各社の事業再構築要件についての説明書類」も考慮し採点します。 |
再構築点②→追記事項
既存事業における売上の減少が著しいなど、新型コロナウイルスや足許の原油価格・物価高騰等の経済環境の変化の影響で深刻な被害が生じており、事業再構築を行う必要性や緊要性が高いか。 |
再構築点③→第6回公募から変更なし
市場ニーズや自社の強みを踏まえ、「選択と集中」を戦略的に組み合わせ、リソースの最適化を図る取組であるか。 |
再構築点④→第6回公募から変更なし
先端的なデジタル技術の活用、新しいビジネスモデルの構築等を通じて、地域のイノベーションに貢献し得る事業か。 |
再構築点⑤→追加項目
本補助金を活用して新たに取り組む事業の内容が、ポストコロナ・ウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応した、感染症等の危機に強い事業になっているか。 |
審査項目に、新型コロナウイルス感染拡大での売上減少の影響だけではなく、足元の原油価格・物価高騰の経営環境の変化の影響で深刻な被害を受けている企業もしくは個人事業主であるという要件も新たに増えました。
さらに、ポストコロナ・ウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応した、感染症等の危機に強い事業であることも必要になりました。
今回は【第7回公募】事業再構築補助金の緊急対策枠の概要や変更点について解説しました。2022年1月以降のどこかの3か月の売上高合計(又は付加価値額)が、2019~ 2021年同3か月売上高合計と比較して10%(付加価値額の場合15%)以上減少している企業、個人事業主は、何かしら、売上減少している理由があるはずです。
その理由を追求し、政府から支援を頂き、経営を発展させていきませんか?
まだまだ新型コロナウイルスを始めとする様々な要因から、厳しい状況である日本の経済ですが、是非このような補助金等を活用し、苦境の状況を抜け出せる事業者様が増えていくことを願っております。
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