令和6年、新たに中小企業省力化投資補助金(以下、省力化補助金)が始まりました。
予算1000億円で今年大きな注目を浴びている補助金で、5月27日に最新のカタログが更新されるなど、情報がどんどん開示され始めています。
今回は、5月31日時点で明らかになっている省力化補助金に関する情報をわかりやすく解説します。
省力化補助金とは
・補助対象事業要件
・補助対象者の要件
・上限額・補助率
・補助対象製品
省力化補助金に関係する組織
申請スケジュール
申請から実施の流れ
まとめ
省力化補助金は人手不足に悩む中小企業が、IoTやロボットなどの人手不足解消に効果がある汎用製品を導入するための経費の一部を補助することで、省力化投資を支援する補助金です。
省力化補助金の目的は、中小企業の付加価値額や生産性向上を図り、最終的には賃上げにつなげることです。
補助金の対象となる省力化製品は、あらかじめ所定のカタログに掲載されており、中小企業が選択して導入する仕組みです。
この方式により、簡易で即効性のある省力化投資を促進します。
また、この補助金では共同申請型であり、中小企業が単独で申請することはできず、販売事業者等と関わりあいながら申請を進めていきます。
特徴
・カタログ型: 自由に投資対象を選ぶのではなく、所定のカタログに掲載された製品を選択して導入します。
・共同申請型: 中小企業が販売事業者と共同で申請し、補助金を利用することができます。
以下の要件を満たした事業計画書等の作成が必要です。
・労働生産性の向上目標を設定し、その実現に向けて取り組むこと
・賃上げの目標を設定し、実現に向けて取り組むこと
・導入を契機として、従業員の解雇を積極的に行わないこと
・人手不足の状態にあることが確認できること
・全ての従業員の賃金が最低賃金をこえていること
事業計画書においては、企業の生産性向上、賃上げ、人手不足の解消などについて、具体的な数字を用いて説明することが求められます。
対象者は以下の2つの条件を満たす必要があります。
・人手不足の状態にある中小企業や小規模事業者
・事業終了後1~3年で付加価値額を増加させることができる事業者
人手不足に関しては客観的に示す証憑を提示するか、人手不足が経営課題となっている旨を申告することが必要とされています。
また、付加価値額に関しては、事業終了後で従業員1人あたり、年平均3%以上の増加が見込める事業計画を策定する必要があります。
なお、付加価値額とは「営業利益+人件費+減価償却費」によって算出されます。
省力化投資補助金の補助率は、一律で1/2となっており、補助上限額は従業員数に応じて次の通りです。
冒頭で解説した通り、省力化投資補助金は省力化の結果として賃上げにつなげることが目的とされているため、一定の賃上げ要件を達成した事業者への補助上限額が増額される措置が取られています。
補助上限額の引き上げが受けられる賃上げでは、次の3つをすべて満たす必要があります。
①事業場内最低賃金を45円以上増加させること
②給与支給総額を 6%以上増加させること
③申請時に、賃金引き上げ計画を従業員に表明すること
「中小企業省力化投資補助金」の補助対象となるのは、あらかじめカタログに登録されている省力化製品です。ここから選択して・導入する必要があります。
2024年5月29日の公募要領発表時点では以下が対象となっています。
例えば、製造業の場合、対象業種となっている製品(清掃ロボット・自動倉庫、検品・仕訳システム、無人搬送車)を選択して申請します。
現在、カタログに掲載されている省力化製品は少量ですが、これから徐々に追加されていく予定です。現時点で条件に合う省力化製品がなくても、今後追加される可能性があります。
この補助金には、省力化製品を利用する中小企業だけではなく、①工業会、②製造事業者、③販売事業者の3つの組織も関わります。
補助金申請までの大まかな流れとしては以下の通りです。
①【工業会】製品カテゴリ作る
②【製造事業者】製造事業者登録と製品登録する
③【販売事業者】販売事業者登録をする
④【中小企業&販売事業者】共同申請
様々な機械メーカーが加盟している工業会です。
この工業会が、中小企業庁に対して製品カテゴリーの申請を行います。
現在は10個のカテゴリーが登録されており、現在も申請ができる状態です。
省力化製品を製造する事業者や海外製品の国内総代理店をしている事業者(メーカー)です。
メーカーは、工業会を通じて省力化製品の登録審査を行い、審査が通れば省力化製品製造業者として登録されます。
現在は、取り扱っている商品が登録済みの10個のカテゴリに該当する場合は、省力化製品の申請を行うことができます。
製造事業者の省力化製品を販売し、中小企業と協力してこの補助金の申請を行う事業者です。
省力化補助金を活用して製品を販売するためには、この販売事業者も事前に、「事務局」に登録申請を行う必要があります。
こちらは「製造事業者」の確認を受けた事業者のみが、本事業における「販売事業者」の登録申請をすることができ、販売事業者の公表はまだ行われていません。
現在は「省力化製品製造事業者」として登録された事業者のみが、「販売事業者」の登録申請をすることができます。
商社や販売代理店の登録申請はまだ行われていない状態です。
なお、現時点で「販売事業者」として登録された事業者の公表は行われていません
2024年(令和6年)5月現在、省力化投資補助金の受給申請に関する具体的なスケジュールは公開されていません。
ただし、3月末には公募要領が公表されていることから、間もなく公募のスケジュールも公表されると思われます。
ポイント
・公募回数:2026年9月末までに公募回数は約15回(2か月に1回の頻度)
・採択予定件数:計12万件程度
・募集開始:2024年6月予定
省力化補助金では、販売事業者との共同申請になります。
中小企業視点での大まかな流れは以下の5つとなります。
①事前準備
②交付申請
③交付決定
④補助事業期間
⑤補助金額の確定と支払い
まず初めに事業計画の策定をし、中小企業が自社に合った省力化製品を選択し、その省力化製品を取り扱っている販売事業者に連絡します。
補助額が500万円以上の場合は、事業計画期間終了までの間、取得財産が自然災害による損失するリスクに備えるため、保険または共済への加入が必須です。
そして、申請にはgBizlDの取得が必要なので、早めに準備をしておきましょう。
省力化製品に問題がなければ、中小企業と販売事業者で共同で交付申請を行います。
交付申請は申請受付が開始した段階で中小企業省力化投資補助金のホームページから行えます。
複数製品を対象とする場合は各販売事業者と個別に申請する必要があり、補助上限額はすべての交付申請の総額によって決まります。
交付申請後、審査を経て採択事業者が決定し、同時に交付決定されます。
その旨は申請受付システムを通じて通知されます。
交付決定日から原則12カ月以内が補助事業期間となります。
その間、まずは実際に事業計画に基づいて省力化製品の導入を行い、業務プロセスの改善に努めます。
そして製品を導入後(※)は、事務局に実績報告を提出しなければなりません。
※実績報告は交付決定から12ヶ月を待たずとも、補助事業が完了していれば提出可能です。
ただし、賃上げによる補助上限額の引き上げを適用している場合、賃金の引き上げ実績が確認できるようになるまでは実績報告を行えません。
実績報告が受理された後、事務局が内容を踏まえて補助額を確定し、結果の連絡と支払いが行われます。
また補助事業終了後、毎年4月〜6月までに効果報告を5年間行います。
期限までに効果報告が提出されなかった場合、交付決定を取り消すことがあるため注意が必要です。
人手不足や品質向上は大きな課題になっている製造業の会社も多いと思います。
省力化補助金はAIやロボットなどの省力化製品の導入にかかる費用を、実質半額に抑えることができる制度です。
販売事業者との共同申請となるため、申請は比較的容易で、省力化製品をすぐに導入することができます。
省力製品の導入を検討される場合は、補助金の活用も視野に入れてみてはいかがでしょうか。
弊社は補助金申請のサポートも行っているので、お気軽にご相談ください。
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