製造業では人材不足が深刻化しています。
ものづくり大国といわれ、日本経済の成長をけん引してきた製造業が、大きな局面を迎えている状況です。
なぜ、製造業は人手不足に陥ってしまったのか、その原因や影響、解決方法を解説していきます。
経済産業省が2017年12月に実施した調査によると、製造業の94%以上の企業で「人材確保の状況が課題になっている」と回答しています。
とくに「大きな課題となっており、ビジネスにも影響が出ている」と回答した企業が、わずか1年で10%近く増えていて、2024年現在ではさらに影響が出ているのではないかと思われます。
また、「2022年版ものづくり白書」によると、製造業の就業者数は約20年で157万人の減少(1202万人→1045万人)になっています。
このように、製造業の労働人口は年々減少している状況です。
それでは、なぜ製造業は人材不足に陥ってしまったのか。
考えられる3つの理由についてお伝えします。
現在の日本は出生率が低下し、人口における高齢者の割合が増加している状態です。その結果、日本の労働力人口は年々減少を続けています。
また、現在の人口は東京都をはじめとした首都圏に集中しているため、土地の安い地方に工場を設置している企業は、とくに労働力人口が足りなくなる状況にあります。
製造業は以前から、3K(きつい、汚い、危険)といわれるなど、世間では負のイメージを持たれています。
また、24時間稼働している工場が多く、勤務は交替勤務制のため、生活リズムが整いにくいこと。他にもライン作業のため、単純作業がつらいということで、他の業種に転職する人も多いようです。
これらの負のイメージから、製造業は敬遠されて、ほかの業種に人材が流れてしまう状況にあります。
日本の製造業では、職人といわれる熟練の作業者の技術力によって支えられています。
ただ、その人の技術は長年の経験や独自の感覚によるもので、マニュアル化されておらず、属人化されている状態です。
また、こうした技術継承は「見て覚える」「盗む」といったものが基本で、どうしても時間がかかりがちです。その結果、技術継承の途中で転職してしまい、技術継承が行われないケースもあります。
さらに、少子高齢化の影響で若手人材が確保できずに職人が定年を迎えてしまい、結果として技術伝承ができなかったという事態も起こっています。
人手不足の状態だと、企業は請け負う業務の量を減らさなくてはならず、仕事の引き合いがあっても断ることになります。しかもお得意様からの依頼だと、今後の取引にも影響を及ぼします。その結果、売上の減少につながります。
仮に、今後の取引を考慮して無理に引き受けたとしても、自社で対応できずに外注に依頼するかたちを取ると、利益がさほど出ない仕事になることも。
売上や利益が減るということは、会社経営を厳しくさせて、資金繰りに頭を悩ませる可能性があります。
人材不足の状態だと、人を配置することができず、結果として生産ラインの縮小・減少につながります。
その結果、業務の生産性は下がり、結果として利益率や企業価値の低下へとつながっていきます。
人手不足が足りないと、業務の状況によっては、従業員の残業時間は増加し、休暇も取れない状況に陥ります。その結果、業務過多により、心と体の負担が増大し、モチベーションの低下を引き起こします。
さらに負担が増大するということは、業務のパフォーマンス低下につながり、ミスが増える可能性があり、結果として労働災害や品質低下につながる恐れがあります。
こうした労働環境が悪化すると、従業員の離職につながり、さらなる人材不足という悪循環を招くことになります。
製造業の人材不足を解決する方法として、人材採用などが考えられますが、今回はDX(デジタルトランスフォーメーション)の促進と補助金についてお伝えします。
DXとは、AIやIoTなどのデジタル技術を活用して、ビジネスモデルや業務などを変革し、企業の競争力や企業価値を高める取り組みのことです。
これにより、業務の効率化・自動化が行えるため、少ない人数でも仕事を回すことが可能となります。
具体的には「生産管理システム」を導入して、製造に必要な部品に欠品が生じた場合は自動発注できるようにすれば、在庫管理に従業員を配置する必要もなく、また発注ミスによる部品の欠品も防げるので、遅延が生じることなく業務を行えるようになります。
また、業務が特定の個人に依存している場合、技術をデータ化してマニュアルを作成できれば、新人スタッフでも技術習得までの時間を短縮させることも可能です。もしくは業務そのものを、ロボットなどにまかせることで、高品質な製造が自動化できるようになります。
人手不足の解消を目的とした補助金が、2024年度から始まっています。それが「中小企業省力化投資補助金」です。
IoTやロボットなど、人手不足の解消に効果がある汎用製品を、事務局が承認・登録したカタログから選択して導入するというもので、導入に要する経費の一部を補助してもらえるというものになります。また、この「中小企業省力化投資補助金」は、省力化製品を取り扱っている販売事業者と共同で申請するため、より簡単に申請することができ、そして迅速に省力化製品を導入できるというメリットがあります。
製造業の人材不足は、少子高齢化の影響もあり、改善の見通しが立っていません。
もし、人手不足が改善されないという場合は、DXの導入や中小企業省力化投資補助金の利用を検討してみてはいかがでしょうか。
DXを導入する場合、初期費用で発生する設備やシステムなどの導入費用は、補助金を活用するという方法があります。その場合は補助金の専門家にご相談ください。
一方の中小企業省力化投資補助金は、カタログから省力化製品を選択し、取り扱っている販売事業者を通じての申請となります。
人手不足の解消に、補助金の活用を検討してみてはいかがでしょうか。
ご不明な点がありましたら、補助金申請の専門家である当社までご相談ください。
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