製造業の設備投資に使える「ものづくり補助金」には、5つの申請枠があります。
枠のなかで類型がわけられているのが、ものづくり補助金の大きな特徴です。申請にあたっては、自社の状況に合った申請枠や類型を選ばなくてはなりません。
そこで本記事では、ものづくり補助金の5つの申請枠について概要を紹介します。
ものづくり補助金への申請を考えているのなら、ぜひ参考にしてください。
ものづくり補助金で基本となるのが「通常枠」です。
概要と金額を紹介します。
革新的な製品・サービス開発又は生産プロセス・サービス提供方法の改善に必要な設備・システム投資等を支援
引用:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金公募要領(15次締切分)
従業員数 |
従業員数5人以下:100~750万円 6人~20人:100~1,000万円 21人以上:100~1,250万円 |
通常枠の補助率は1/2です。ただし小規模企業者・小規模事業者・再生事業者の補助金は2/3に設定されています。
ほかに該当する枠がなければ、通常枠への申請を考えましょう。
賃上げや雇用拡大に取り組む事業者の設備投資を支援するのが「回復型賃上げ・雇用拡大枠」です。申請できるのは、前年度の事業年度の課税所得がゼロ以下の事業者に限られます。
業況が厳しいながら賃上げ・雇用拡大に取り組む事業者(※)が行う、革新的な製品・サービス開発又は生産プロセス・サービス提供方法の改善に必要な設備・システム投資等を支援
※応募締切時点の前年度の事業年度の課税所得がゼロ以下であり、常時使用する従業員がいる事業者に限る。
引用:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金公募要領(15次締切分)
従業員数 |
従業員数5人以下:100~750万円 6人~20人:100~1,000万円 21人以上:100~1,250万円 |
補助金額は通常枠と同じですが、補助率は一律で2/3です。
なお回復型賃上げ・雇用拡大枠には3つの追加要件があります。申請にあたっては、追加要件をすべて満たす必要がありますので注意が必要です。
DXによる生産性向上に必要な設備投資に使えるのがデジタル枠です。生産性向上につながらない単なるDX化では対象にならないので、申請にあたっては注意しましょう。
デジタル枠の概要は以下の通りです。
DX(デジタルトランスフォーメーション)に資する革新的な製品・サービス開発又はデジタル技術を活用した生産プロセス・サービス提供方法の改善による生産性向上に必要な設備・システム投資等を支援
引用:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金公募要領(15次締切分)
補助金額 |
従業員数5人以下:100~750万円 6人~20人:100~1,000万円 21人以上:100~1,250万円 |
デジタル枠の補助金額は通常枠や回復型賃上げ・雇用拡大枠と同じで、補助率は2/3です。
追加要件では、DX推進指標の自己診断・SECURITY ACTIONの宣言などが追加要件として設定されています。診断結果や宣言が未提出だと、要件不備で不採択になるため要注意です。
申請に間に合うよう、忘れずに手続きを行いましょう。
SECURITY ACTIONとは、情報セキュリティ対策への取り組みを宣言するための制度です。中小企業や同等規模の団体、個人事業主が制度の対象となっています。
SECURITY ACTIONは、情報セキュリティに対する認定や認証を行う制度ではありません。「取り組みを始めた」と宣言するのが目的なので、対策するまえの段階で申請が可能です。
申し込み手続きを行うと、1~2週間程度で受理されます。
(参考)SECURITY ACTION セキュリティ対策自己宣言
温室効果ガスの排出削減・炭素生産性向上などに必要な設備投資を支援するのがグリーン枠です。
グリーン枠の概要と補助金額は以下のように定められています。
温室効果ガスの排出削減に資する取組に応じ、温室効果ガスの排出削減に資する革新的な製品・サービス開発又は炭素生産性向上を伴う生産プロセス・サービス提供方法の改善による生産性向上に必要な設備・システム投資等を支援
引用:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金公募要領(15次締切分)
補助金額 |
(エントリー類型) 従業員数5人以下:100~750万円 6人~20人:100~1,000万円 21人以上:100~1,250万円 |
(スタンダード類型) 従業員数5人以下:750~1,000万円 6人~20人:1,000~1,500万円 21人以上:1,250~2,000万円 |
(アドバンス類型) 従業員数5人以下:1,000~2,000万円 6人~20人:1,500~3,000万円 21人以上:2,000~4,000万円 |
補助率は一律で2/3で、「エントリー類型・スタンダード類型・アドバンス類型」の3つがあります。
追加要件が複雑であるため、公募要領で確認したうえで、自社に合った類型を選んで申請しましょう。
海外事業の拡大や強化を目的とした設備投資を支援しているのが、グローバル市場開拓枠です。国外進出を考えているのなら、グローバル市場開拓枠の活用も検討してみてください。
グローバル市場開拓枠の概要は以下の通りです。
海外事業の拡大・強化等を目的とした「製品・サービス開発」又は「生産プロセス・サービス提供方法の改善」に必要な設備・システム投資等を支援(①海外直接投資類型、②海外市場開拓(JAPAN ブランド)類型、③インバウンド市場開拓類型、④海外事業者との共同事業類型のいずれかに合致するもの)
引用:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金公募要領(15次締切分)
補助金額 |
100~3,000万円 |
基本的な補助率は1/2ですが、小規模企業者・小規模事業者は2/3となっています。
グローバル市場開拓枠は、4つの類型によって追加要件が違う点に注意が必要です。4つのうちどれに該当するのかチェックしてみましょう。
費用が原因で、思うように設備投資が進んでいない企業も多いでしょう。そんな製造業での設備投資には、ものづくり補助金を活用するのがおすすめの方法です。
しかし申請にあたっては、申請枠や類型を選ばなくてはなりません。
ものづくり補助金では、申請枠・類型によって追加要件が変わってきます。そのため公募要領の読み込みは必要不可欠ですが、ボリュームが多くて大変です。公募要領を読み込んで応募したとしても、審査に通過できるとは限りません。
そんなときは、補助金申請の支援を行っている専門家への相談を検討してみてください。
専門家は、客観的に状況を確認したうえで、自社に合ったベストな補助金をアドバイスしてくれます。国以外が実施している補助金を含めて提案してくれるのも、専門家に相談する大きなメリットです。
まずは補助金を活用できる可能性があるか、専門家まで相談してみましょう。
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