2024年に生産性向上や人手不足解消を目的として創設された「中小企業省力化投資補助金」。2025年に入り、新たに「一般型」が追加されることになりました。
本記事では、公開された中小企業省力化投資補助金の「一般型」の最新情報をお届けします。
目次
1. 中小企業省力化投資補助金とは?
2. 中小企業省力化投資補助金(一般型)
2-1 補助対象者
2-2 補助対象経費
2-3 補助上限額
2-4 補助率
3. 補助金を受け取るまでの手順
3-1 スケジュール
3-2 申請の手順
4. 採択されるためのポイント
4-1 審査項目
4-2 加点項目
まとめ
引用:公式HP
中小企業省力化投資補助金は、人手不足に悩む中小企業が売上拡大や生産性向上を目的としてIoTやロボットなどの設備を導入する際の費用を補助する制度です。
これにより、省力化投資を促し、企業の付加価値や生産性を向上させ、最終的には賃上げにつなげることを目的としています。
2025年に入り、中小企業省力化投資補助金に「一般型」が新設されました。従来の「カタログ注文型」は対象設備が「製品カタログ」に登録された製品に限定されていたため、申請事業者にとって選択肢が限られており、申請を見送るケースもありました。
そこで、2025年に新設された「一般型」では本補助金の趣旨に基づき製品の導入に妥当性があると認められれば、事業者が自由に製品を選定できるため、より柔軟に活用できる補助金となりました。
補助対象者は、人手不足の状態にある中小企業者・小規模事業者で、事業終了後1~3年で付加価値額を増加させることが求められています。
申請要件は以下の4つです。
①労働生産性の年平均成長率+4.0%以上増加させること ②1人あたり給与支給総額の年平均成長率が事業実施都道府県における最低賃金の直近5年間の年平均成長率以上、又は給与支給総額の年平均成長率+2.0%以上増加 ③事業場内最低賃金が事業実施都道府県における最低賃金+30円以上の水準 ④次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を公表等(従業員21名以上の場合のみ) |
一般型はカタログ注文型と比較し、様々な経費が対象となります。
・機械・工具・器具の購入、製作、借用に要する経費 ・専用ソフトウェア・情報システムの導入・構築、借用に要する経費 ・改良または据付けに要する経費 |
単価50万円以上の機械装置が必須で、複数の汎用設備を組み合わせた場合も対象になる可能性があります。
省力化を目的とした広範囲な経費が対象になりますが、建物・建築工事費や広告費は対象にならないので注意が必要です。
補助上限額は従業員数の規模により異なります。
従業員数 | 補助金額(大幅な賃上げ適用後) |
5人以下 | 750万円(1,000万円) |
6〜20人 | 1,500万円(2,000万円) |
21〜50人 | 3,000万円(4,000万円) |
51人〜100人 | 5,000万円(6,500万円) |
101人以上 | 8,000万円(1億円) |
※上記表の( )内の金額は特例適用後の上限額となります。
大幅賃上げ特例を満たすことで補助上限額が上乗せされます。大幅な賃上げ特例の適用を受けるためには下記の2つの条件を満たす必要があります。
①給与支給額の年平均成長率+6.0%以上増加 ②事業場内最低賃金が事業実施都道府県における最低賃金+50円以上の水準 |
※上記の①or②のいずれか一方でも条件を満たすことができない場合、特例適用前の上限額 との差額を返還する必要があります。
補助金額は事業規模や補助金額等により異なります。
補助金額が1500万円まで | 1500万円を超える部分 | |
中小企業 | 1/2 (2/3) | 1/3 |
小規模事業者 | 2/3 | 1/3 |
例えば、中小企業(従業員数20人、大幅な賃上げなし)が3000万円の設備を導入した際の受給額は以下のようになります。
[具体例] 中小企業が3000万円の設備を導入した場合 1500万円×1/2+1500万円×1/3=1250万円 中小企業が3,000万円の設備を導入した場合、1500万円までと1500万円を超えた場合で、補助率が変わり、合計1250万円の補助金を受けることができます。 【最低賃金引き上げ特例を満たした場合】中小企業が最低賃金引き上げ特例(※1)を満たすことで、補助金額が1500万円を下回る部分について補助率が1/2から2/3に引き上げられます。 1500万円×2/3+1500×1/3=1500万円 ※1 指定する一定期間において、3か月以上地域別最低賃金+50円以内で雇用している従業員が全従業員数の30%以上いること |
引用:公式HP
中小企業省力化投資補助金の大まかな流れは上記の画像の通りです。
公募開始〜採択の予定
申請の日程は以下の通りです。
3月上旬 申請様式公開(予定) 3月中旬 申請受付開始(予定) 3月下旬 申請締切(予定) |
申請受付の期間が短いので、受付開始前から専門家等に相談し、適切な準備を始めることが重要です。
交付決定〜補助事業実施・終了
補助対象実施期間が交付決定から18ヶ月間以内です。
現段階で詳細なスケジュールは発表されていないため、新たな情報があり次第随時更新していきます。
申請の手順は以下の通りです。
①gBizIDを発行する
電子申請のためには、 gBizIDプライムアカウントが必要です。アカウントを持っていない場合は「 gBizID」から取得します。
※gBizIDの発行は1週間ほどかかるため、発行手続きは早期に進めておくことが重要です。
②jGrantsから電子申請を行う
中小企業省力化投資補助金(一般型)の申請はjGrantsから行います。
「jGrants」より詳細や利用方法を確認することができます。
中小企業省力化投資補助金の申請は事前に作成した事業計画書(PDF形式)を電子申請システム上で添付し、申請を行います。
審査項目は以下の通りです。
審査項目 | 評価ポイント |
(1)補助対象事業としての適格性 | 対象事業・対象者・申請要件・補助率を満たしているか |
3~5年計画で「労働生産性」年平均成長率4.0%以上を達成できるか | |
(2)技術面 | 省力化指数:設備導入による省力化効果の算出が適切か |
投資回収期間:短期間での回収が可能か | |
付加価値額:年平均成長率が高く、妥当な根拠が示されているか | |
オーダーメイド性:デジタル技術活用や専用設備導入で省力化が図られているか | |
(3)計画面 | 事業遂行体制(人材・財務状況)が適切か |
収益性・生産性向上の計画とスケジュールが具体的か | |
(4)政策面 | 地域経済の活性化や経済波及効果が見込めるか |
事業承継、複数事業者連携、デジタル・低炭素技術活用など国の経済政策に合致するか | |
(5)大幅な賃上げ計画の妥当性(特例適用) | 継続的な賃上げが可能か(利益の増加を人件費に充当できるか) |
従業員の育成・人事評価が適切に計画されているか | |
事業成長のための体制強化や販売戦略が整っているか |
中小企業省力化投資補助金には、審査の過程で申請内容が特定の条件を満たしている場合に、点数が追加される「加点項目」が6項目あります。
加点項目は以下の表の通りです。
加点項目 | 概要説明/参考情報・外部サイト |
事業継承M&Aを実施した事業者に対する加点 | 過去3年以内に事業継承(株式譲渡等)により経営資源(設備、従業員、顧客等)を引き継いだ事業者。 |
災害加点 | 有効な期間の事業継続力強化計画の認定を取得した事業者 |
成長加速マッチングサービスに登録している事業者に対する加点 | 「成長加速マッチングサービス」において会員登録を行い、挑戦課題を登録している事業者(応募締切日時点) |
賃上げ加点 | 事業計画期間(補助事業完了年度の翌年度以降)における給与支給総額の年平均成長率 平均4.0%以上増加、事業場内最低賃金を毎年3月、事業実施都道府県における最低 賃金より+40円以上の水準を満たす計画を有し、事務局に誓約書を提出している事業者。 |
えるぼし加点 | 女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(女性活躍推進法)に基づく「えるぼし認定」を受けている事業者 |
くるみん加点 | 次世代育成支援対策推進法(次世代法)に基づく「くるみん認定」を受けている事業者。 |
本記事では2025年度に新設された中小企業省力化投資補助金の一般型について解説しました。
中小企業省力化投資補助金(一般型)は対象設備が拡大しとても使いやすい補助金ですが、申請期間が短いため事前の準備が重要となります。
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