中小企業の生産性向上に役立てられるのが「ものづくり補助金」です。これから申請したいと考えている製造業の担当者も多いでしょう。
ものづくり補助金は、大幅賃上げによる補助上限額引き上げが可能です。
補助上限額引き上げについて紹介しますので、ぜひ参考にお役立てください。
ものづくり補助金には「大幅賃上げに係る補助上限額引上の特例」があります。大幅な賃上げへの取り組みを行い、追加要件を満たすと、補助金の引き上げが可能になるのです。
将来的に従業員の賃上げを行うのなら、活用を検討してみましょう。
特に重要となる2つのポイントから紹介していきます。
大幅賃上げによる補助金引き上げ額は、従業員数によって違いがあります。引き上げの上限は100万円・250万円・1,000万円の3種類です。
従業員数が21人以上なら、最大で1,000万円もの引き上げが可能です。かなりの上限アップとなるので、せっかくなら大幅賃上げを考えてみるのもよいかもしれません。大幅賃上げが実現すれば、従業員の満足度も上がり、雇用の定着にもつながります。
ものづくり補助金の申請を考えているのなら、賃上げも積極的に検討してみましょう。
ものづくり補助金には基本要件があります。さらに補助上限額引き上げにあたっては、追加要件も満たさなくてはなりません。
追加要件3つについて引用で見てみましょう。
以下の全ての要件に該当するものであること。
※追加要件を満たさない場合、大幅な賃上げに係る補助上限額引上の特例を適用しない取扱いとなります。
(1)事業計画期間において、基本要件である給与支給総額を年率平均1.5%以上増加に加え、更に年率平均4.5%以上(合計で年率平均6%以上)増加とすること。
(2)事業計画期間において、基本要件である地域別最低賃金+30円以上の水準とすることに加え、事業場内最低賃金(補助事業を実施する事業場内で最も低い賃金)を毎年、年額+45円以上増額すること。
(3)応募時に、上記(1)(2)の達成に向けた具体的かつ詳細な事業計画(大幅な賃上げに取り組むための事業計画)を提出すること。
引用:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金公募要領(15次締切分)
追加要件は3つすべてを満たす必要があります。注意したいのは、単年ではなく複数年の取り組みが必要になる部分です。
補助上限額引き上げを希望する場合は、複数年にわたる取り組みが可能なのか検討してみましょう。
ものづくり補助金の申請で、大幅な賃上げによる補助金引き上げを希望するときの書類を紹介します。15次締切用なら、様式4の「大幅な賃上げ計画書(15次締切用)」が必要です。
申請書には2つの項目があります。
2つの項目のポイントについてもチェックしてみてください。
取り組みについては、年度ごとに「体制面・営業面・人事面」それぞれの取り組みを記載します。また事業計画期間における大幅な賃上げの見込みの記載では、電子申請システムへの入力も必要です。
事業内最低賃金・売上高・営業利益・経常利益・人件費など、入力項目は多岐にわたります。
間違いを防ぐためにも、入力は慎重に行いましょう。
計画書には、過去の賃上げへの取り組み状況に関する項目もあります。これまで行った賃上げへの対策や取り組みがあったなら、内容を具体的に記載しましょう。
計画書の様式をダウンロードすると、記載例の確認が可能です。何を記載したらよいかわからないのなら、まずは記載例を確認してみてください。記載例にあるように、表を活用すると見やすくなります。
採択率を高めるためには、見やすさも重視するのがおすすめです。
ものづくり補助金の補助上限額引き上げを考えているときの注意点を紹介します。
補助金の引き上げで注意したいのは次の2点です。
注意点もそれぞれ解説しますので、ぜひご確認ください。
大幅賃上げでの補助上限額引き上げにあたっては、実現可能な計画を立てましょう。ものづくり補助金には、基本要件に「返還要件」が明記されています。さらに補助金の引き上げがあると、返還要件の追加もあるのです。
・給与支給総額の年率平均1.5%以上増加目標に加え、更に年率平均4.5%以上(合計で年率で6%以上)の増加目標が達成できていない場合は、補助金交付金額から各申請枠の従業員規模ごとの補助上限額との差額分(上記補助上限引上額)について補助金の返還を求めます。
・補助事業を完了した事業年度の翌年度以降、事業計画期間中の毎年3月末時点において、事業場内最低賃金を申請時より毎年、年額+45円以上増加することが達成できていない場合は、補助金交付金額から各申請枠の従業員規模ごとの補助上限額との差額分(上記補助上限引上額)について補助金の返還を求めます。
・事業計画期間において、常時使用する従業員がいなくなった場合には、補助金交付金額から各申請枠の従業員規模ごとの補助上限額との差額分(上記補助上限引上額)について補助金の返還を求めます。
引用:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金公募要領(15次締切分)
大幅賃上げの計画が未達になってしまった場合、補助金の返還が必要です。
経営を圧迫しないよう、無理なく実現できる大幅賃上げを実施しましょう。
一時的な増員をしないのも、補助上限額引き上げにあたって注意したいポイントです。
追加の「返還要件」に記載されている通り、事業計画期間内に常時雇用の従業員がいなくなった場合にも返還が求められます。
もちろん人材不足などによって、常時働く従業員を増員すること自体は問題ありません。しかし補助金引き上げだけを目的に短期間で増員すると、返還が求められるおそれがありますので注意しましょう。
自社でものづくり補助金に申請する予定があるのなら、大幅賃上げも検討してみましょう。大幅賃上げも行うと、補助金を最大で1,000万円まで引き上げられます。
ただし引き上げにあたっては「大幅な賃上げ計画書」が必要です。さらに返還要件もあるため、公募要領を確認しながら計画書の作成を行ってください。
しかし公募要領も複雑であるため、よくわからないと感じる人も多いでしょう。
そんなときは補助金申請の専門家に相談するのがおすすめの方法です。補助金申請の専門家は、豊富な知識やこれまでの経験を生かし、適切にサポートしてくれます。
採択の可能性を高めるために、ぜひ専門家への相談を考えてみてくださいね。
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