製造業と大きく関係しているのが、ものづくり補助金です。
10次締切分からは、新たに「デジタル枠」や「グリーン枠」が追加されました。
脱炭素への取り組みに関連しているのが、ものづくり補助金のグリーン枠です。二酸化炭素の排出量ゼロを目指して、すでに脱炭素の取り組みを始めている企業も多いでしょう。
本記事では、ものづくり補助金のグリーン枠について、概要や基本要件・追加要件などを紹介します。
想定事例についても紹介しますので、ぜひ内容をご覧ください。
ものづくり補助金のグリーン枠では、脱炭素に取り組む事業者に対して、補助金の増額を行っています。
グリーン枠は、通常枠よりも補助率や補助上限額が優遇されるルールです。
申請要件や提出書類などが多くなるため、申請時の手間は増えます。それでも脱炭素に取り組んでいるのなら、グリーン枠での申請を考えてみるのもよいでしょう。
ただしグリーン枠で採択されなかった場合、通常枠での再審査は行われません。そこで申請にあたっては、グリーン枠に特化した事業計画が求められます。
ものづくり補助金・グリーン枠の概要は次のように定められています。
概要 | 温室効果ガスの排出削減に資する取組に応じ、温室効果ガスの排出削減に資する革新的な製品・サービス開発又は炭素生産性向上を伴う生産プロセス・サービス提供方法の改善による生産性向上に必要な設備・システム投資等を支援 |
補助金額 | (エントリー類型) 従業員数5人以下:100万円~750万円 6人~20人:100万円~1,000万円 21人以上:100万円~1,250万円 (スタンダード類型) 従業員数5人以下:750万円~1,000万円 6人~20人:1,000万円~1,500万円 21人以上:1,250万円~2,000万円 (アドバンス類型) 従業員数 5人以下:1,000万円~2,000万円 6人~20人:1,500万円~3,000万円 21人以上:2,000万円~4,000万円 |
補助率 | 2/3 |
グリーン枠の申請にあたって重要なポイントだと考えられるのが「炭素生産性」です。
炭素生産性は次の計算式で求められます。
炭素生産性とは、温室効果ガス排出量あたりの総生産を意味する数字です。数字が高いほど、同じ炭素量で多くの生産ができると考えられます。
海外と比較すると、日本の炭素生産性は高くありません。そのため日本の企業には炭素生産性の改善が求められています。
ものづくり補助金の基本要件・追加要件を引用で紹介します。
基本要件は次の3つです。
【基本要件】
次の要件を全て満たす3~5年の事業計画を策定していること。
①事業者全体の付加価値額を年率平均3%以上増加すること。
②給与支給総額 を 年率平均1.5%以上増加すること。
③事業場内最低賃金 (事業場内で最も低い賃金)を地域別最低賃金+30円以上 の水準にすること。
(引用:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業令和3年度補正予算の概要)
さらにグリーン枠での追加要件も満たしておく必要があります。
グリーン枠での追加要件は次の3つです。
③温室効果ガスの排出削減に資する革新的な製品・サービスの開発や炭素生産性向上を伴う生産プロセス・サービス提供方法の改善等を行う事業計画であること。
④3~5年の事業計画期間内に、事業場単位での炭素生産性を年率平均1%以上増加する事業であること。
※労働生産性と炭素生産性向上のいずれも必要であり、生産プロセスやサービス提供方法の改善を伴わない設備更新(例:既存機械装置をエネルギー効率の高い機械装置に入れ替えることのみを目的とした事業計画である場合等)は支援対象とはなりません。
⑤これまでに自社で実施してきた温室効果ガス排出削減の取組の有無(ある場合は取組内容)を示すこと。
(引用:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業令和3年度補正予算の概要)
グリーン枠に限らず、基本要件・追加要件のほかに確認しておきたいのが、加点項目です。採択される可能性が高まりますので、なるべく加点項目を満たしましょう。
加点項目は大きくわけると「成長性加点・政策加点・災害等加点・賃上げ加点等」の4つです。
「取引先の事業者がグリーンに係るパートナーシップ構築宣言をしている」という、グリーン枠のみが対象となる加点項目もあります。
採択の可能性を高めるためには、公募要領で基本要件・追加要件・加点項目を読み込むのが大切です。
確認漏れがないよう、しっかりとチェックしておいてください。
ものづくり補助金では、グリーン枠のみが対象となる審査項目もあります。
それが「炭素生産性向上の取組等の妥当性」です。
グリーン枠の申請においては、様式3を用いて、事業場単位での炭素生産性を年率平均1%以上増加させる具体的な計画内容と、これまでに自社で実施した温室効果ガス排出削減の取組内容の有無やその効果等の内容を、具体的かつ詳細に記載してください。事業計画書と内容が重複することは、差し支えありません。
参照:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金公募要領(14次締切分)
申請にあたっては、炭素生産性を年率平均で1パーセント以上増やすための具体的な計画が必要です。
過去の取り組みや結果の記載なども求められますので、申請時は正確な情報を用意してください。
また炭素生産性の向上率は、電子申請システムへの入力が必要になります。
電子申請システムへの入力内容と申請書の記載内容が乖離しないよう、入力・記載時には確認を行いましょう。
グリーン枠で求められるのは、脱炭素に対する取り組みです。
想定活用事例には次のようなものがあります。
脱炭素と聞き、ソーラーパネル設置を考えている企業も多いでしょう。
しかしグリーン枠は、ソーラーパネルを設置して売電すればOKというわけではありません。単なるソーラーパネル設置や売電などに取り組むだけでは対象外です。
また既存設備の更新や改修なども、グリーン枠の対象外となります。
申請を前提に新規事業や改修を考えているのなら、対象となるか事前に確認しておきましょう。
自社で脱炭素に取組むのなら、ものづくり補助金のグリーン枠への申請はおすすめです。
ただし通常枠よりも提出する書類が多くなり、炭素生産性の計算なども必要になります。申請にあたって求められている要件や計算などが複雑であるため、難しいと感じている方も多いはずです。
そんなときは、専門知識を持つ補助金支援の専門家にサポートを依頼する方法があります。専門家は、状況を確認したうえで企業に合った適切なアドバイスをしてくれる、頼れる存在です。自社だけでグリーン枠への申請を行うよりも、採択の可能性を高められるでしょう。
時代の変化に伴い、製造業にも大きな進化が求められています。今後の事業において、脱炭素の取り組みは必要不可欠なものとなるでしょう。
ものづくり補助金のグリーン枠を活用し、脱炭素への取り組みを積極的に推進していきましょう。
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