製品改良は企業の競争力を高め、売上や利益の増加に大きく貢献します。
しかし、研究開発費や新設備の導入費用が企業の経営に負担をかけることもあります。
こうした資金面でのリスクを軽減するために、東京都では「製品改良/規格適合・認証取得支援事業」の助成金の制度を設けています。
本記事では、その中でも市場のニーズに合わせるために製品改良を行う「製品改良プロジェクト」に焦点を当てて説明します。
目次
1 製品改良/規格適合・認証取得支援事業とは
2 製品改良事業の具体的内容
2-1助成対象者
2-2助成対象経費
2-3製品改良の具体例と達成目標
3 製品改良/規格適合・認証取得支援事業の申請方法
3-1スケジュール
3-2助成金申請の流れ
①GビズIDを取得する
②必要書類を用意する
③Jグランツ上のフォームに入力する
④Jグランツにて必要書類をアップロードする
4 製品改良/規格適合・認証取得支援事業の重要ポイント
4-1GビズIDの取得について
4-2達成目標について
5 まとめ
「製品改良/規格適合・認証取得支援事業」とは、国内外の市場ニーズに応じて行う試作品や市場投入済みの製品の改良、規格適合・認証取得(CEマーキング、ISO、IEC規格等)に必要な経費の一部を助成する制度です。
今回紹介する「製品改良事業」では、市場ニーズに適合させる製品改良(量産化デザイン、ダウンサイジング等も含む)が対象で、具体的には、国内外の市場ニーズに対応するため、省エネルギー性と耐久性を強化した製品へ改良などが挙げられます。
・補助率:対象経費の2分の1以内
・補助額:50~500万円
・補助対象期間:令和7年2月1日~令和8年8月31日
東京都内に本社を置く中小企業者(法人および個人事業主)が対象となります。
また、東京都内で創業予定の企業も応募可能で、中小企業の条件は以下のとおりです。
「製品改良プロジェクト」では、製品改良に要する以下の費用が助成対象となります。
・原材料、副資材費
・機械装置、工具器具費
・委託費、外注費
・専門家指導費
・産業財産権出願 、導入費
・直接人件費・賃貸料
この助成金の特徴は、特定の製品やサービスの生産・提供に直接関わる従業員の人件費である「直接人件費」が助成対象に含まれる点です。
ハードウェアだけでなく、ソフトウェアの改良工程に直接従事する時間も対象となり、最大350万円まで助成を受けられます。
製品改良の取り組みの内容として、機能強化、性能向上、省電力化など製品やソフトウェアの改良があります。
具体的なプロジェクトの例としては、以下のようなものがあります。
また、この助成金では申請テーマに沿って達成目標として、機能目標と性能目標を具体的に設定し、助成事業の終了時点でこれらが達成されていることが求められます。
達成テーマの例として以下のようなものがあります。
機能強化新機能を追加し、製品の価値を向上させる。例: タッチパネルの表示強化や、UIの操作時間短縮など。耐久性・高強度化製品の耐熱性や強度を向上。例: 耐熱性を10%アップ。省エネルギー化製品の消費電力を削減。例: 消費電力を10%以上削減。
引用:募集要項
申請から助成金交付までの流れは、以下のとおりです。
①電子申請:令和6年9月17日(火)~令和6年9月30日(月)
②書類審査:令和6年10月~11月
③面接審査:令和6年12月17日(火)~令和6年12/19(木)
④助成事業:最長で1年9ヵ月間
⑤中間報告:令和7年11月15日まで
⑥実績報告:助成事業終了日から 15 日以内
①電子申請
申請は国が運用する電子申請システム(Jグランツ)で行い、持参、郵便、電子メール等、Jグランツ以外の方法による提出はできません。
申請の締め切りは9月30日(月)17時までで、締め切り直前はアクセス集中が予想されるため、時間に余裕をもって申請することが大切です。
②書類審査(一次審査)>
一次審査の結果は11月末〜12月初旬にJグランツおよびメールで連絡が来ます。
通過者には、二次審査の日時も通知されます。
③面接審査(二次審査)・総合審査
最終審査結果(採択結果)は、Jグランツにて通知されます。
交付決定時に通知する助成予定額は審査の結果、申請額から減額となることがあります。
④助成事業実施
申請時の事業計画の変更は、正当な理由がある場合のみ、事前に公社の承認で行うことができます。ただし、達成目標の変更はできません。
⑤遂行状況報告(中間報告)
遂行状況報告書(中間報告書)は、令和7年11月15日までに提出が必要です。
⑥実績報告(完了報告)
実績報告書(完了報告書)は、助成事業終了日から15 日以内に提出が必要です。
助成金申請の流れは以下の通りです。
①GビズIDを取得する
②必要書類を用意する
③Jグランツ上のフォームに入力する
④Jグランツにて必要書類をアップロードする
GビズID(ジービズアイディー)は、法人や個人事業主向けの共通認証システムです。
Jグランツを利用するには「gBizIDプライムアカウント」の取得が必須となります。
GビズIDの詳細は公式ホームページよりご確認ください。
製品改良/規格適合・認証取得支援事業の申請には、以下の書類が必要です。
・申請書
・製品説明資料
・助成事業補足説明資料
・登記謄本等
・納税証明書(直近年度分)
・確定申告書(2期分)
・見積書
また、法人と個人事業主で必要な書類が異なる部分もあるため、詳しくは応募要項の8ページを参照ください。
製品改良/規格適合・認証取得支援事業の申請はJグランツからのみ受け付けています。
Jグランツの申請フォームは、公式ホームページからログインできます。
用意した書類をJグランツにてアップロードします。
提出書類は、文字化け等を防止するためスキャンやファイル形式の変換等により、PDFファイルでのアップロードを推奨します。
Jグランツの利用には、GビズIDの取得が必須です。
「gBizIDプライム」アカウント発行には、書類に問題がなくても審査に1週間程度はかかるとされています。
また、法人の場合は印鑑証明等の書類が必要となるため、注意が必要です。
申請書には、助成対象期間内に到達すべき目標を具体的に記入する必要があります。
助成金の交付には、完了検査で設定した全ての達成目標が確認されることが条件であり、目標が達成されていない場合、助成金は支給されません。
また、申請書に記載された達成目標は、助成事業が完了するまで変更できません。
製品改良プロジェクトにおいては、助成事業の終了時に達成すべき目標を明確に記載する必要があります。例えば「新機能○○の追加」といった機能目標や、「消費電力〇%削減」のような性能(数値)目標を設定し、具体的に記入する必要があります。
製品改良事業の助成金は、製品改良により発生する研究開発費などの負担を軽減するのに役に立ちます。この助成金は他の助成金よりも応募条件を満たしやすいため、多くの企業や創業者が利用できる助成金となっています。
しかし、その分審査の段階において多数の応募があると想定されるため、助成金申請を自社で行ったことのない企業や個人では通過の難しい助成金となっています。弊社は東京都の助成金申請支援も行っていますので、今回の製品改良事業の活用を検討されている方はお気軽にご相談ください。
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