今回は当社でご依頼をいただくことが多い、経営力向上計画について解説します。
この経営力向上計画は補助金よりも認知度が低く、一般的にはあまり知られていない制度です。しかし、経営力向上計画の認定を受けることで、税制措置や金融支援などが受けられるようになります。
とくに税制措置で享受できるメリットは大きく、そのために「経営力向上計画の認定を受けたい」と事業者が魅力を感じる制度となっています。
そこで今回は、経営力向上計画のメリットは何か。当社が実際にサポートした事例とあわせてご紹介いたします。
まず、経営力向上計画とは何か。自社の経営力を向上させるために設備投資等を行い、売上拡大やコスト削減、人材育成、生産性の向上などを行っていくための計画のことをさします。
この経営力向上計画を作成したら、事業分野別の主務大臣に申請します。計画が認定されると、中小企業等経営強化法に基づき、以下の支援措置が受けられるようになります。
・経営力向上計画に記載した設備を新規取得した際にかかる費用の即時償却
・経営力向上計画に記載した設備を新規取得した際にかかる費用の10%の税額控除
※資本金3,000万円~1億円以下の法人の場合は、10→7%になります
税制措置は、上のいずれかを選択して適用することができます
・日本政策金融公庫から設備投資に必要な資金の融資が受けられる
・民間金融機関から融資を受ける際の信用保証協会の別枠での保証が受けられる
・その他
・許認可承継の特例が受けられる
・組合発起人数の特定が受けられる
・その他
これらの支援措置の中で、とくにメリットが大きいのが税制措置です。次はこの税制措置について解説していきます。
それでは、経営力向上計画で受けられる税制措置について解説します。
・経営力向上計画に記載した設備を新規取得した際にかかる費用の即時償却
・経営力向上計画に記載した設備を新規取得した際にかかる費用の10%の税額控除
例えば、機械装置やソフトウェアを新規導入したい。お店を新規出店する際の工事・設備投資を行いたいという場合、これらを経営力向上計画に記載して申請します。
認定を受けることができたら、これらの新規導入や工事・設備にかかる費用は、即時償却または10%の法人税控除のどちらかを選択できるようになるということです。
即時償却を選択すれば、通常は減価償却の対象となるものが、一括で経費計上できるようになり、経費を使うことなく手元にキャッシュがある状態で利益を減らすことができます。
法人税の控除を選択すれば、通常支払う法人税の金額自体を減らすことができるようになります。
なので、利益が多く見込まれる事業者や、法人税の支払い金額を少しでも抑えたい事業者が、この税制措置を活用しています。
それでは、経営力向上計画の認定を受けて、税制措置を適用した事業者はどれくらいあるのか。
財務省のホームページに「租税特別措置の適用実態調査の結果に関する報告書」というものがあり、その資料に適用件数が掲載されています。掲載されている件数はこちらです。
令和2年度:15,742件
令和3年度:16,266件
令和4年度:14,973件
令和2年度:7,337件
令和3年度:7,653件
令和4年度:7,596件
租税特別措置の適用実態調査の結果に関する報告書よりhttps://www.mof.go.jp/tax_policy/reference/stm_report/fy2023/gaiyou.pdf
このように、毎年22,000件ほどが、経営力向上計画の税制措置を活用しています。そして、6~7割が即時償却を選択しているようです。
それでは、実際にどのようなケースで経営力向上計画に取り組み、認定を受けた後の税制措置はどちらを選択したのか。当社が支援させていただいた事例をご紹介いたします。
美容室、売上1億円、従業員数10名
業績が好調で次の店舗の出店を計画していた。しかし、投資額も大きく、次の店舗の出店資金の確保がしにくい状況に。その際に、顧問税理士から節税対策になる経営力向上計画の制度の話を聞き、手元資金を少しでも多く残し、次の出店資金として備えたいと思い、経営力向上計画に興味を持った。
懇意にしている顧問税理士の紹介がきっかけ。国の補助金制度や税制のプロで、支援実績も豊富だということで信頼できると判断したため。
B類型
新店舗の工事費用:2,000万円
<工事費用の内訳>
「店舗内装工事」「電気・給排水・空調等工事」「看板工事」「店舗用什器等の設置」
顧問税理士の判断で、税制措置は「即時償却」を選択。その結果、当期純利益を大幅に縮小させることができて、手元のキャッシュが潤沢な状態で、法人税の納税額を抑えることができた。残ったキャッシュは、次の出店費用分として残すことができた。
今回は、経営力向上計画のメリットや税制措置を解説し、当社が実際にサポートを行った事例とあわせてご紹介いたしました。
とくに税制措置は得られるメリットが大きく、「今年度は利益が大きく出そう」「大型の設備投資を行う予定がある」という事業者にとって、経営力向上計画という制度は魅力を感じるのではないでしょうか。
経営力向上計画は、経営革新等支援機関のサポートを受けて申請を行うことが可能です。もし、計画書の策定や申請書類の取り寄せなどで不明点がありましたら、経営革新等支援機関である当社までご相談ください。
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経営力向上支援
https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/kyoka/
適用実態調査の結果の概要
https://www.mof.go.jp/tax_policy/reference/stm_report/fy2023/gaiyou.pdf
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