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資金調達をはじめとした様々な恩恵が受けられる“経営革新計画”とは?

経営革新計画をご存知でしょうか?

経営革新計画を作成して都道府県から承認を受けると、資金調達をはじめとした様々なメリットが得られるようになります。

とくに製造業においては、新たな取り組みには設備投資が必要となるケースが多いです。設備投資の際は多額の費用が必要となるため、資金面での援助が期待できる経営革新計画は魅力的な制度といえます。

そこで今回は、経営革新計画の概要や得られるメリットなどをお伝えします。

経営革新計画とは

経営革新計画とは、中小企業が新たな取り組みを行い、中長期的な経営計画や達成目標を入れた計画のことをいいます。

そして、その経営革新計画が各都道府県の知事に承認されることで、“公的機関に認められた信用性の高い計画書”となり、資金調達や販路開拓などのさまざまなメリットが得られるようになります。

「新たな事業をはじめたい」
「事業を次のステップにすすめたい」

このように考えている中小企業を支援するための制度が、経営革新計画です。

とくに、「現在事業を行っているものの、事業が停滞している」というお悩みを抱える中小企業にとっては、現状を打破して成長につなげるきっかけになる制度といえます。

経営革新計画の申請対象者

申請対象者は、以下の3つの条件を満たす必要があります。

①以下に該当する業種と従業員数であること

※「常時使用する従業員」には、事業主、法人の役員、臨時の従業員を含みません

②直近1年以上の営業実績があり、この期間に決算を行っていること(税務署に申告済みのこと)

③登記上の本社所在地が、申請を行う都道府県内にあること(法人)。または、住民登録が申請を行う都道府県であること(個人事業主)

基本的には、現在事業を行っている都道府県での申請となります。

なお、創業して間もない企業や、これから創業しようと考えている人は対象とならないので気を付けてください。

経営革新計画が承認を受けるために必要な2つの要素

経営革新計画の承認を受けるためには、以下の2つを入れる必要があります。

・「新事業活動」に取り組むこと
・「経営の相当程度の向上」の達成が可能な計画であること

それぞれについて解説します。

「新事業活動」について

経営革新計画で取り組む事業は、現在の事業とは異なる、新たな事業活動であることです。

具体的には、次のいずれかに該当する必要があります。

1.新商品の開発又は生産
2.新役務の開発又は提供
3.商品の新たな生産又は販売の方式の導入
4.役務の新たな提供の方式の導入
5.技術に関する研究開発及びその成果の利用

なお、新事業活動と聞くと、これまで世の中に存在しなかった、まったく新しい技術やサービスをイメージされるかもしれません。

ご安心ください。新事業活動とは、自社として“はじめて”の取り組みであれば、すでに他社が行っている取り組みでも大丈夫です。

ただし、同業の中小企業において、ある程度普及している取り組みの場合は、新事業活動にあたらなくなるので注意が必要です。

「経営の相当程度の向上」について

計画には、目標設定が必要となります。

そのため、経営革新計画では、3年から5年間の中から年度を選択し、その年度で以下の2つの目標を達成するための計画にする必要があります。

選択した年度で、この2つをいずれも満たす必要があります。

例えば、5年計画の場合、目標途中の3年目・4年目において、上記の数値を達成する必要はありません。設定した年度において目標を達成すれば大丈夫です。

なお、表の中にある文言の求め方は、以下のとおりです。

「付加価値額」=営業利益+人件費+減価償却費
「一人当たりの付加価値額」=付加価値額/従業員数
「給与支給総額」=役員ならびに従業員に支払う給料、賃金及び賞与+給与所得とされる手当

経営革新計画で得られる資金調達などのメリット

経営革新計画の書類作成には、時間と労力がどうしてもかかります。

なぜなら、「新事業活動」と「経営の相当程度の向上」の2つの要素を満たす計画にするため、簡単に作成できるものではないからです。

その分、経営革新計画の承認を受けると、さまざまな支援策が受けられるようになります。

資金調達はもちろんのこと、販路開拓・マーケティングの支援を受けられるなど、計画達成に向けて、強力にバックアップしてくれる制度が用意されています。

とくに、資金調達の部分の支援制度が充実しているのでご紹介します。

資金調達における支援制度の内容

なぜ、資金調達の支援制度が充実しているのか。

それは、経営支援計画の実行には、設備投資や運転資金で多額の資金が必要になること。さらに都道府県という“公的機関に認められた計画書”のため、融資や投資で優遇されるようになるためです。

具体的には、このような支援を受けることが可能となります。

・日本政策金融公庫における「新事業活動資金」や「新事業活動促進資金」の対象となり、特別利率が適用される

・信用保証協会における「信用保証」の枠が広がり、大きな融資を受けやすくなる

・起業支援ファンドや中小企業投資育成株式会社などから、投資を受けやすくなる

・「ものづくり補助金」で経営革新計画が加点要素となるので、ものづくり補助金に採択される可能性が高まる

経営革新計画の承認を受けた場合の、想定事例はこちらになります。

製造業 A社

製品Aを製造していたが、不良品が多く出ているのと取引先からの製品の形状の複雑化の要望があった。

経営支援計画の承認を受けた結果、日本政策金融公庫から2000万円の融資を受けて、2000万円の最新のNC旋盤機を購入することができた。

その結果、生産方式を一新し製品Aの不良品が減少し、複雑な形状の製品も製造できるようになった。

製造業 B社

金型設計、製作を行っている。技術には自信があり、特許および実用新案を申請するなどのノウハウがある。しかし、検査で使用する画像解析システムは処理速度が遅く、量産に課題を感じていた。

経営支援計画の承認を受けた結果、民間の金融機関から3000万円の融資を受けて、海外の大学と共同で独自の画像解析システムを開発。

その結果、検査時間の高速化を実現し、量産化ができるようになった。

経営革新計画のまとめ

いかがでしたでしょうか?

経営革新計画は、国や都道府県から承認された経営計画になります。

都道府県という公的機関から“お墨付きを得た計画”となるため、信用度が上がり、資金調達をはじめとした様々なメリットが得られるのが特徴です。

新たに事業を始めたい。資金面や販路開拓の支援を受けたいという事業者は、活用を検討してみてはいかがでしょうか。

ただし、経営革新計画は、計画作成の難易度の高さから、承認率が低い傾向にあります。公表はされていませんが、承認率は「10%程度」とも言われています。

承認されるためには、ポイントを押さえた書類の作成が必要となります。ぜひ専門家のサポートを受けてみてはいかがでしょうか。


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