製造業をサポートしてくれるのが「ものづくり補助金」です。
すでに補助金の活用を検討している企業も多いでしょう。
ものづくり補助金には、10次締め切り分から「デジタル枠」が追加されました。
本記事ではものづくり補助金のデジタル枠について、概要や要件などを紹介します。
中小企業の設備投資に対する支援の1つが「ものづくり補助金」です。「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」が正式名称となります。
そのなかで、DX化の推進を目的として使えるのがデジタル枠です。
デジタル枠とは何か、概要をチェックしてみましょう。
14次の公募要領によると、デジタル枠の概要は以下の通りです。
概要 | DX(デジタルトランスフォーメーション)に資する革新的な製品・サービス開発又はデジタル技術を活用した生産プロセス・サービス提供方法の改善による生産性向上に必要な設備・システム投資等を支援 |
補助金額 | 従業員数 5人以下 :100万円~750万円 6人~20人:100万円~1,000万円 21人以上 :100万円~1,250万円 |
補助率 | 2/3 |
デジタル枠はDX(デジタルトランスフォーメーション)に特化しています。
デジタル技術を活用して、ビジネスや生活を変革させるのがDXです。完全ペーパーレス化や、チャットツールなども身近なDX化の例として挙げられます。
ものづくり補助金のデジタル枠で補助対象となるのは、次のような経費です。
DXによって生産性の向上が見込めるのなら、デジタル枠での申請を考えてみるとよいでしょう。
ただし機械装置・システム構築費では、単価50万円以上の設備投資が必須です。
経費ごとによるルールもあるため、申請時には内容の確認を行ってください。
ものづくり補助金の申請では、特定の要件を満たす必要があります。さらにデジタル枠での追加要件も満たさなくてはなりません。引用で基本要件・追加要件についても紹介します。
【基本要件】
次の要件を全て満たす3~5年の事業計画を策定していること。
①事業者全体の付加価値額を年率平均3%以上増加すること。
②給与支給総額 を 年率平均1.5%以上増加すること。
③事業場内最低賃金 (事業場内で最も低い賃金)を地域別最低賃金+30円以上 の水準にすること。
【追加要件】
④DXに資する革新的な製品・サービスの開発やデジタル技術を活用した生産プロセス・サービス提供方法の改善等を行う事業計画であること。
⑤経済産業省が公開する「DX推進指標」を活用して、DX推進に向けた現状や課題に対する認識を共有する等の自己診断を実施するとともに、自己診断結果を独立行政法人情報処理推進機構(IPA)に対して提出していること。
⑥IPAが実施する「SECURITY ACTION」の「★ 一つ星」または「 ★ ★ 二つ星」いずれかの宣言を行っていること。
(参考)DX推進指標サイト:https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/dx/dx.html
自己診断結果入力サイト:https://www.ipa.go.jp/ikc/info/dxpi.html
「SECURITY ACTION」公式サイト(制度概要) https://www.ipa.go.jp/security/security-action/index.html
※DX戦略、CIO等の公表、人材の育成・確保に向けた取組をしている事業者にあっては、審査において加点。
引用元:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業令和3年度補正予算の概要
取り組みの内容によっては審査時に加点があります。まずは要件を満たすよう確認しながら取り組みを進めていかなくてはなりません。
13次まで、ものづくり補助金のデジタル枠での不採択後は、通常枠での再審査が行われていました。しかし現在では、公募要領から再審査に関する文言がなくなっています。そのためデジタル枠での申し込みが可能か、チェックしながら進めるのが大切です。
SECURITY ACTIONとは、中小企業が「情報セキュリティ対策に取り組む」と自己宣言する制度です。ただし情報セキュリティに対する認証制度ではありませんので注意してください。
SECURITY ACTIONは次のような流れで進められます。
取り組み開始後は、SECURITY ACTIONのロゴマークをポスターやパンフレットなどに使えます。またSECURITY ACTIONのサイトに掲載されるのも大きな特徴です。
SECURITY ACTIONの宣言が申請要件になっている補助金には次のようなものがあります。
またSECURITY ACTIONの宣言を要件としている都道府県の補助金もあります。
申請を考えているのなら、SECURITY ACTIONについても必ずチェックしておきましょう。
独立行政法人情報処理推進機構(IPA)で公開しているのが、DX推進指標の自己診断結果入力サイトです。
DX推進指標の自己診断結果を入力いただいた企業には、自己診断結果と全体データとの比較を可能にするベンチマークなどによる分析結果を提供します。この分析結果を活用することにより、各企業が全体との差を把握し、次のアクションを検討することなどができます。
引用元:DX推進指標 自己診断結果入力サイト:IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
DXの推進にあたって、現状および課題への認識を共有するのが、自己診断の目的です。各項目について、経営幹部やIT部門などが議論しながら回答する想定で作られています。
自己診断結果を入力するとIPAから分析結果が提供されるため、DX化での検討課題としての活用が可能です。
「デジタル枠」と聞いても、あまりイメージがわかない人も多いはずです。
中小企業庁では、次のような事例を想定活用事例として挙げています。
ただし上記はあくまで想定例です。対象となる経費は多岐にわたりますので、さまざまな活用が可能となります。
DX化を推進していくのなら、補助金の活用も考えましょう。ただしSECURITY ACTIONなど、補助金申請にあたってはさまざまな要件が求められます。
そんなときは、知識が豊富な補助金支援の専門家にサポートを依頼してみましょう。補助金支援の専門家なら、状況を把握したうえで適切なアドバイスをしてくれます。
製造業も、今後の事業をスムーズに進めるにはDX化が必要不可欠です。
専門家のアドバイスを受けながらものづくり補助金のデジタル枠を活用して、DX化を推進していきましょう。
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