製造業は特に資金繰りが難しい業種の1つです。
実際に、資金繰りで頭を悩ませている製造業経営者も多いでしょう。
そこで本記事では製造業の資金繰りでの代表的な課題と、解決につながる資金調達方法を紹介します。
資金繰りでの悩みをお持ちでしたら、ぜひ参考にしてください。
製造業の資金繰りでの代表的な課題には、次の5つが考えられます。
5つの課題について、それぞれの概要を見ていきましょう。
どうしても初期コストが大きくなりがちなのが製造業です。製造業では設備投資にも莫大な費用がかかります。
さらに受注後売り上げが発生するまでには、次のような費用が必要です。
初期コストを支払うために、製造業ではある程度の運転資金を用意しなくてはなりません。技術の進歩にともない、設備の入れ替えが必要になる場合もあるでしょう。
コストの大きさから、結果として資金繰りが厳しくなってしまう可能性があります。
海外企業との競争が厳しいのも、製造業が抱えている課題です。
技術進歩によって、海外企業に仕事を奪われる国内企業が増えてきています。それでも人件費などの固定費は毎月必要です。
人員を大幅に削減してしまうと、大口の受注があったときの対応が難しくなるでしょう。繁忙期のみ臨時での増員を繰り返していると、働き手の技術が向上しません。
受注が少ない状況でも繁忙期と同じ固定費が発生していると、資金繰りが悪化しがちです。
状況を打開するためには、独自の技術を開発する・長期での契約を締結するなどの対策が求められます。
製造業は原価管理が難しいのも大きな課題です。
原価管理が正確でないと、業績にも大きく影響してしまいます。しかし「足りないと困る」という状況から、常に過剰在庫を抱えている企業も多いでしょう。
また変動費と固定費の区分を間違えてしまい、原価率の計算が正しくない企業も見受けられます。
適切な原価管理をするためにも、正しく仕入れを行い、過剰在庫を減らしていくなどの工夫が必要です。
支払いサイトが長いのも、製造業の資金繰りにおける課題の1つです。
製造業は売掛を回収するまで時間がかかります。受注後は初期コストと時間をかけて製品を製造し、そこから数か月後の入金となるのが一般的です。数か月入金がない状態が続くことも想定されます。
取引先と交渉して支払いサイトを短縮してもらう方法もありますが、必ず対応してもらえるとは限りません。
あらかじめ数か月分の運転資金がないと、会社の経営を続けていくのが難しくなってしまうでしょう。
景気に左右されやすいのも製造業の抱えている課題です。
製造業は、ほかの業種と比較すると国際的な不景気のあおりを受けやすい傾向にあります。受注がストップしても、従業員の人件費を始めとする固定費は必要です。
そこで景気悪化による受注減少時に対応するための財務基盤づくりが求められます。
資金繰りでの課題に悩まされているのなら対処が必要です。
そこで製造業での資金繰り問題解決につながる、5つの資金調達方法について紹介します。
取り入れやすい資金調達方法は次の5つです。
それぞれの内容についても紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
もっとも基本的な資金調達の方法となるのが、銀行からの短期資金の借り入れです。短期資金の借り入れでは、受注から売掛の回収までの期間を目安にして、手形貸付での資金調達を行います。
この方法なら、受注分に必要となる運転資金だけを借入できます。売掛の回収後に手形貸付を返済するのであれば、無理なく返済できるでしょう。
銀行から借り入れをするのなら、当座貸越枠を作る方法もあります。当座貸越枠があれば、限度額までならいつでも融資を受けることが可能です。ただし当座貸越枠の審査は厳しいため、業績によっては作成が難しくなります。
なお短期資金の借り入れは、一般的にプロパー融資です。そのため不動産のような担保がない限り、短期資金の借り入れは難しいでしょう。
製造業ならABLを使って資金調達する方法があります。ABLとは、売掛債権・棚卸資産などの流動資産を担保として、金融機関からの借り入れを行う方法です。
売掛債権や在庫があるのなら、評価額の50パーセントを限度に短期資金の借り入れや当座貸越枠が作れます。
業績が芳しくない時期だとしても、ABLであれば資金調達できる可能性が高いでしょう。不動産を担保とした短期資金借り入れが難しいのなら、ABLも候補として検討してみてください。
金利は高いものの、ノンバンクによるビジネスローンも資金調達の方法として使えます。銀行よりも審査に通過しやすく、最短即日で借り入れできるのがビジネスローンのメリットです。
ただし消費者金融が提供するビジネスローンは金利が高く、安易に利用すると経営を圧迫するおそれがあります。
またビジネスローンは、借り入れ限度額がそれほど大きくないのもデメリットです。大口の受注に対応するための資金調達方法としては使えない可能性があります。
ノンバンクによるビジネスローン利用時には必ず金利のシミュレーションを行い、慎重に検討しましょう。
製造業の資金調達なら、ファクタリングをする方法もあります。ファクタリングとは、売掛債権を売却して資金化する方法です。
製造業の資金繰りが厳しくなる理由の1つには、支払いサイトの長さが挙げられます。しかしファクタリングなら、手数料はかかるものの売掛を短期間で現金化することも可能です。そのため製造業に合った資金繰り方法だともいえるでしょう。
手数料は利用するファクタリングの種類によって変わります。
種類 | 手数料 | 入金までの期間 |
2社間ファクタリング | 10~20パーセント | 1~2週間 |
3社間ファクタリング | 1~10パーセント | 最短即日 |
即日で現金化できるものの、3社間ファクタリングなら売掛先の同意が必要になります。2社間ファクタリングは手数料が高く時間もかかりますが、売掛先には知られません。
手数料や特徴に違いがあるため、利用時には比較を行い、自社に合った方法を選びましょう。
製造業の資金繰りなら、補助金を活用するのも方法の1つです。
中小の製造業を対象とした補助金には次のようなものがあります。
上記2つのうち、補助金額が大きいのは事業再構築補助金です。しかし事業再構築補助金では、原材料費が補助金の対象になりません。原材料費の資金繰りも厳しい状況なら、ものづくり補助金が適している可能性があります。
内容を把握したうえで、自社にあったベストな補助金を申請しましょう。
資金調達を考えているのなら、補助金の活用を考えてみてください。ただし補助金の種類によって、目的や上限金額などには違いがあります。
「補助金は内容が複雑でわかりづらい」と考えているのなら、補助金の専門家に相談してみるのがおすすめです。有資格者なら、自社の状況に合った補助金の活用方法を提案してくれます。
スムーズな資金調達のためにも、ぜひ自社に合った補助金の活用を検討してみましょう。
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